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一番大切なこと

授業の計画を立てるとき、まずはじめに考えなければいけない最も重要なことを書いていきます。

なんでこういう話をするかというと、これから話すことを頭に入れて授業を進めている人とそうでない人とでは授業の質が全く変わってくるからです。

そして劇的に授業の負担が減ります。

私がこれから話す授業の要諦がわかっていない場合、次のようなことが起こります。

⑴ 教えることが授業の目的だと思ってしまう。
⑵ その結果として、授業中に話時間が長くなる。
⑶ その結果として、生徒は眠くなり、寝だす。
⑷ 教員は長い時間話すことで疲れを感じるが、その疲れがちゃんと授業をやった充実感だと勘違いしている。
⑸ 教員が教えようとすればするほど、生徒は離れていく。
⑹ 生徒はノートをとることが授業の目的と化してしまう。
⑺ できないこと、学力が上がらないことを生徒のせいにするようになる。

こうならないようにするための授業で一番大切なことを言います。

結論から言います。

【生徒たちが何をできるようになったら次に進むか】

という授業の目標を立てることから始めましょう。

理由を述べていきます。

【理由1】
授業における教員の仕事とは「教えること」ではなく、「できるようにすること」です。

「生徒たちに何を教えたら次に行くか」というに授業を進めていくことが多いように思いますが、これではだめです。

「わからない」という状態から「わかる」という状態にするのと「わかる」という状態から「できる」という状態にするのでは後者のほうがはるかに時間がかかります。

教えることが授業の目的だと考えていると「わからない」から「わかる」という状態で止まってしまいます。

これは体育の授業を例にとってみるとわかりやすいのですが、体育の先生が逆上がりのやり方を説明して生徒たちに理解させることで終わりにしたらどうでしょうか。

体育の先生がやり方をたくさん話して、自分で実演してやって見せる、「ほらこうだ、こうやってやるんだぞ!」。

そして適度に疲労したことで授業をやった気になって満足している人がいたとしたらどうでしょうか。

実際、体育の教員以外で結構いるんですよね、こういう人って。



【理由2】
「わかる」ことと「できる」ことには大きな大きな距離があります。

その距離を埋めるために、1時間の授業をいくつかの活動で構成し、生徒たちはその活動行うことで段階的に進んでいき、最後に目標に到達するようにします。

授業の目標が決まっていないと、授業内活動がバラバラになってしまいます。こういう授業は実際によく見ます。

多くの活動を取り入れているのですが、一つの活動と次の活動に何の関連もないのです。

バラバラというのは、言い方を変えれば「何のためにやっているのかわからない」という印象を生徒たちに与えることであり、その結果として段々と活動に参加しない生徒の数を増やしていくことになります。

一つ一つの活動にはそれぞれ目標があるんでしょうが、独立した目標では小さな目標にしかなりませんし、生徒が活動に参加する動機づけが弱くなりま、何かが「できる」という状態まで持っていくことも難しくなります。

すべての活動が段階的につながっていて、最終的な目標が1つに決まっている方が生徒が授業でできるようになったことに達成感を感じやすくなります。

そして生徒の活動を中心にしていくと、教員の話時間が少なくなり、授業が楽になります。

【理由3】
もう「教える」ということが授業の目的にはならないことはわかっていただけたと思いますが、さらにダメを押します。

熱意を前面に出して教えようとすると往々にして知識の押し付けに感じられて、生徒は引いていきます。

そして、生徒は聞いているだけ、板書をノートに写すだけの授業になります。

ノートに書いたことなんて、帰ってからそれを見て復習することなんてありません。

教員は生徒にノートを取らせるだけの授業を行い、生徒もノートに記録することで勉強した気になってしまう。いったい何やってんだか...。

当然生徒は「できる」ようにはならないわけですが、教えている本人は「あれだけ教えたのに、なんでできないんだ!」と定期テストの採点をするたびに職員室で憤っています。


【私の授業の目標】

私は1時間の授業の目標を、Lesson内の1つのPartに対して「文法と意味を理解した上で、本文を暗唱でき、書けるようにすること」としています。

時間的に余裕があれば、さらに「それを使って英語を運用できるようにする」というところまで持っていきたいと考えています。

ただ、実際は時間の制約もあるのでそこまでなかなか行きつくことはできません。今後の課題です。

また、この目標はレベルとしてはとても高いです。それなりの学力の生徒でないと一時間でここまで持っていくのは難しいと思います。

生徒のレベルに合わせて目標を変えていくことが必要です。例えば、

「文法と意味を理解したうえで、本文を見ながら正しく音読できるようにすること」

「文法と意味を理解したうえで、当該レッスンPartのキーセンテンスを暗唱できるようにすること」

などです。

目標を立てる際に絶対にやってはいけないこと

それは「日本語訳をして本文の意味を理解すること」で終わるという目標です。

本文の意味理解は必須ですが、授業の出口が日本語で終わってはいけません。頭の中に最後に残すのは日本語ではなく、英語です。そうしないと英語の力はついていきません。ここのところは絶対に間違えないようにしてください。


次回からは具体的な方法について紹介していきます。


◎ まとめ
1.授業で一番大切なことは【生徒たちが何をできるようになったら次に進むか】という授業の目標を立てること。
2.その目標から逆算して活動を組み立てていく。
3.授業の出口は日本語ではなく、英語であること。

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