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【ショート小説】新しいSNS「逆スタグラム」をリリースしました。

どうやら巷では新しいSNSが出たらしい。その名も「逆スタグラム」。このSNSのルールは1つ。

「イケメン、美人の投稿は即削除。ブス、ハゲ、根暗が人気にならなければいけないSNSです」というものだ。

リリース初日からとんでもない数の投稿がなされたらしい。今までインスタのストーリーを指を加えて見るだけだったあの子も、薄毛が気になるおじさんもみんな「逆スタグラム」にハマった。

ここではどんな底辺でも認めてもらえる。まさに理想のプラットフォームである、

はずだった。

----------20年後、

プラットフォームの進化によって国民の信頼を得た逆スタグラムの運営会社(株)幸福追求の倫理委員会は国政に関与するようになった。

この政党は上手くいくはずだった。
今まで虐げられてきた人間たちが集まればきっといい国を作れるはずだ。その理念のもとに「底辺の声もきちんと聞く政党」というスローガンを立てた。

しかし、自分のことしか考えない底辺の人間たちは選挙には行かない、仕事はしない、メイクもしない、カッコ良く、より可愛くなるための努力もしないでメガネをかけてぐちゃぐちゃの髪を携えてチーズ牛丼を食べている。もともとそういう人間なのだ。

そう、こいつらはなるべくして底辺になっているのだ。

いつも人のSNSを眺めてため息をつくばかり。そんな人間が国政を担っていくうちに日本は完全に先進国から外れた。

金持ちがいて初めて国が成り立つように、貧乏人が金持ちを全員倒したとしても貧乏人の生活は苦しいままだ。

じゃあ認めるしかないのかって?だって資本主義、能力主義ってそういうものでしょう?

一方、理想郷のSNSでも底辺同士のカースト決めが始まる。その中でも消極的な陰キャはアクティブな陰キャに淘汰されていった。

「逆スタグラム」は今日も人々の心に巣食う。そして、上がるはずだった僕らの自己肯定感は下がりっぱなしだ。

(終わり)
この話は今のところフィクションです。

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