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紅茶詩篇『死神が通る』

 私を怖がる皆々
 私を追い払い勝とうとする
 恐ろしいものだと泣く
 或いは汚いものだと嘘を言う
 なのにも拘わらず万策尽きると酷いことを言う
 最も煌びやかで何よりも荊(あざ)やかな私に向かって
 迎えに来い
 どうか苦しみ無いように
 涙も息もなく言うのだ
 あなたはうつくしい
 私に最早言葉はなく
 私を貶す者の終わりに
 彼らの終わりに通りがかったら
 私は誰かの死を迎え送った後に
 そっと会釈する
 お葬式をしている
 お邪魔にならないように早く帰ろう
 微笑みを添えて
 死神が通る 死神が通る

 私を通り過ぎようとする皆々
 私を追い越し逃れようとする
 怖いものだと震える
 或いはかどわかす者だと嘘を教える
 なのにも拘わらず万策尽きると私に縋る
 最も煌びやかで荊やかな私に向かって
 迎えに来てくれ
 どうか苦痛の無いように
 声も意識も失って言うのだ
 あなたはうつくしい
 私は二三度口を開くも言うべき言葉はなく
 私を避ける者の終わりに
 彼らの最期を私が通り越したら
 私は誰かの死を迎え葬った後に
 そっと会釈をする
 お葬式をしている
 お邪魔にならないように早く帰ろう
 微笑みを添えて
 死神が通る 死神が通る

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