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掌編小説【薔薇喪失】

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美貌の公爵こと麗人薔薇柩による美と幻想への耽溺。 最も美しいものを失い、自らの美貌に処刑された貴公子の、優美な日常と殺伐の物語。 掌編小説。耽美小説。幻想文学。幻想小説。
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掌編小説【薔薇喪失】01.『深海に溺れる星』

掌編小説【薔薇喪失】01.『深海に溺れる星』

 麗人は『薔薇庭園(ゴレスターン)』の入口から、真っ白な階段を上っていた。骨を精製してつくった白い土を、薔薇の蔓がモルタルとなって繋ぎ、強固にして存在を続ける要塞都市は、乾ききった死によって構成されている。麗人は庭園の支配者として階段を上っていた。薔薇を編み込んだ黒緑の長い髪を横に流し、豪奢で長いマントの端を薫る死の風に翻しながら、踵が高い編み上げのブーツで屍を越えるような厳かな歩みを続けていた。

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