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剣城かえで
2024年1月31日 22:22
交差点の一帯には、白い闇が蟠っていた 歪んだ現実の中で、歩く人々から闇が匂い立つ。喪服のような外套から、霧よりも細かい闇がほどけている。濃密な白っぽさが、黄昏とは違う色で、すれ違う人々の顔を隠していた。麗人は細かい闇に包まれた雑踏に紛れていた。何処にも存在しない、交差点だった。 麗人は目を凝らした。闇の霧に隠れた人々は、透けて見える。粒子は細かいのに血のように濃密な霧の中に居ながら、灰色の影