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(2023/07/17/月)蔵骨器に書かれた『+』模様について、専門家の方々の見解を伺いました。

『+』マークの付いた蔵骨器についての備忘録


昨日博物館に行って見つけた蔵骨器について聞きに行きました。

 今日は作業(作品や創作活動に関するコンセプト等を絞り込む作業)を終わらせた後、昨日博物館で出会った『+』マークの付いた壺について、学芸員の方や考古学者の方に意見を聞きたくて、過去の調査報告書(全国遺跡報告総覧へのリンクです)のコピーや、模様に関連するかもしれない本等の資料と、質問書をもって博物館に行ってきました…。

 博物館で遺物に関する解説をお願いした所、宮崎県立博物館副館長の方に解説をして頂く事が出来ました。

 その際、遺物の出土した地域の状況等について詳しく解り易い解説を行って頂いたのですが、『+』のマークについては詳しい事は判らないと言う事を教えて頂きました。

 しかし、今日は偶々偶然、隣の県埋蔵文化財センター分館の当直の方が、県に二人在籍いらっしゃる焼き物研究で有名な専門家の一人だと言う事だと言う事を教えて頂きました。
 
 早速御紹介して頂き、この『+』印について考古学者から見てどういう意味が有るのかを詳しく教えて頂くことが出来ました。
(いつもは、後日アポイントを取り時間を作って頂く事が多いので、今日は本当に良かったです!)

『+』マークについて、専門家の方の見解

 挨拶を行った後、さっそく質問書を提出し見解を聞く事が出来ました!
(質問書を作って行った理由は、私は人と話していると話が脱線して聞きたい事を全て聞く事が出来ない事が多いので、その対策の為に今回は事前に用意していました)

※こちらの写真は私が現地で撮った物で、施設に許可を得て掲載しております。

ヘラ記号のある蔵骨器
室町時代
宮崎市清武町山内石塔群出土
宮崎県埋蔵文化財センター所蔵

宮崎県立博物館2階展示

この作品(室町時代の蔵骨器)についての質問と回答をまとめました。

質問①

Q この作品(蔵骨器)の様な線刻が施された蔵骨器等の報告は県内外で他に有りますか?

A 須恵器・埴輪(西都原古墳群で出土した円筒埴輪に刻まれた『↑』等)にも線刻があります。

質問②

Q この蔵骨器に書かれた模様(図1)は何だと思いますか?

A 窯記号と考えます。(窯記号とは、工房や職人の名前の代わりに付けられるマークだそうです。ただ、実際の所は何を意味しているのかは正確には判らないと教えて頂きました。)

(図1)

質問③

Q③-1
 調査報告書の写真(図2)を確認すると『+』の模様の隙間にそれぞれ点の様な傷が有り、※の様な模様に見えるのですが、この点は地肌の傷でしょうか?それとも意図的に付けられた物でしょうか?


A 資料(調査報告書)で何も言及されていない様なので、この点に見える物は釉薬をかけて焼いた後の湧き(釉薬が溶けて出来たブツブツ)だと言う見解で決着がついていると思われます。

(図2)

Q③-2 『+』の横に『✓』の様な傷(図3)が見えますが、自然についた傷なのか、意図的に付けられた物なのでしょうか?

A もしかしたら線刻かもしれない。
(実物を詳しく観察した事が無いので何とも言えないが、こちらも資料(調査報告書)で何も言及されていないので、傷と言う結論で収まっている物だろうと思うとの事でした)

(図3)

質問④

Q 調査報告書には壺の底部の画像が載っていませんでした。代わりに同時に発掘された3つの蔵骨器の内一つの底部だけが載っていました。
この作品(蔵骨器)の底部には何か刻印等が有るのでしょうか?

A 実物の底を見ていないので何とも言えないが、記載が無かったと言う事であれば、おそらく何もなかったと言う事だと思います。

質問⑤

Q この様なシンボル(模様)や祭器、変わったデザインの遺物について研究ししたり、学んだりする様な学科は有りますか?

A 宗教考古学・祭祀考古学という分野がある。
(この質問は質問書に記載していなかったので直接質問した物をまとめました。)

※追記
 又、質問⑤を行った際、会話を行いながら、昨日自宅の本棚から見つけ出した本のページを開いて、紹介されていた『✖』の使用例等の様に、『+』にも何らかの意味が有るかもしれないと思っているのですが、これまで発見された遺物の中で『+』の模様が付いた遺物の例を教えて頂きたいのと、この『+』模様の意味につて、窯印以外に何か予想できる意味等は有りますか?
とお伺いした所、意味については判らないが、単純な記号等は印や落書きで良く使われる記号なので意味までは推測できないとの事でした。

 古代の落書きかもしれない物の例として隼人の盾の裏にはたくさんの線や単純な記号が多く残されていて、多くの単純な記号等の事例を見る事が出来ると教えて頂きました。

 又、落書きとは別に、意味が有るかもしれないと推測できるものとしては、最近発掘された吉野ケ里遺跡で発掘された石棺の内側に大量に掛かれた『✖』模様や、遠くから運んできた材料や、加工しにくい素材にわざわざ刻んだ物等は何らかの意図があると考える事が出来るかもしれないと教えて頂きました。
(最後は質問書に質問内容を書き忘れていたので、聞きたい事上手くまとめる事ず、話が長くなってしまいまいました…。
今後は、事前にもっと簡潔に質問出来るようにしたいと思います)

2023/07/17 宮崎県立博物館にて専門家の方に教えて頂いた『+』記号の意味に関する見解です

まとめ

 今日は様々な偶然が重なり、多くの専門家(研究者)の方々に直接意見を聞く事が出来ました。

 自分一人で資料を調べているだけだと気が付かない事や、特定の意見や考えに偏りがちになるのですが、今日は実際に現役の現場で研究されいらっしゃる方々の意見を直接聞く事ができ、今日は凄く良い経験と知識を得る事が出来たと思います。

 私の地元は今日はかなり熱かったのですが、もし熱さに負けて外出しなかったら接点を持つことが出来なかったかもしれない方々に出会う事が出来たので、今日博物館に行けた事はかなり良かったと思います。

 今日は多くの職員の方々に、とても解り易い解説を丁寧に行って頂き、多くの貴重な知識を得る事が出来ました。

 今回得る事た知識は、今後の作品製作に生かしていきたいと思います。
本日はお忙しい中お時間を頂き、深く感謝申し上げます。

2023/07/17/2100頃(?)~2318


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