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画廊に行くといつも思うこと


<作家経歴>

澁谷 瑠璃(シブヤ ルリ)  油絵画家

東京生まれ

早稲田大学卒業

画家 川口起美雄に師事、古典絵画技法を学ぶ

2016 / 2018  個展(銀座 青木画廊 Luft)

2018  個展(香港 中国国際展示空間)

2019  個展(御成門 東邦アート)


と、定型文通りの経歴を入力していた。

プロフィールには いつも過ぎ去った出来事しか書かれていない。

たった数行の経歴で、何を伝えられるというのだろうか。

本当に書き記したいことは これから先のことなのに。

昔の出来事よりも まだ見ぬ未来について話すほうが楽しいので、

今より先の自分の思いを記すことによって、プロフィールを完成させたい。


この先  澁谷瑠璃の作品に触れ合った人々から、

人それぞれ様々な新しい感情や思いを伴った素粒子が生まれる。

目には見えないが、色んな人達のそれらの思いが大量に空中に浮遊することによって、

絵が飾られている場所が  東京都が  日本が  そして世界中の空間が、

ほんの少しでも美しくなればいいと思っている。

100が欲しい人と  1だけしかいらない人と、

白が好きな人と  黒が必要な人…

あまりにも多くの、本当に人の数だけ思いは存在する。

それらを混ぜて出来た色で、透明に突き抜けるような絵を描きたい。


私は永遠に創作し続け、想像することをやめない。

この先の未来で確実に約束出来ることは、ただそれだけである。


画廊に行くといつも思うこと

絵を描いている身なので、他の方の作品を観にギャラリーに行く事がある。

一通り作品を鑑賞し終えると、隅っこに作家のプロフィールが貼られている。

学歴、展覧会歴、華々しい受賞歴等の年表の羅列。

何か違和感を感じながらも、私も個展を開催する時は  右へ倣えで同じようなプロフィールを掲げていた。


ある日、違和感の正体がわかった。

私の過去の経歴なんて  誰も興味がない。

私のことを知らない人なら、尚更興味がないだろう。

私が何処の生まれで何処の学校を卒業していつ何処で展覧会をやったか知った所で、観る方にとって有益な情報になるだろうか。

いや、ならない。 (特に華々しい受賞歴もないし)


私は、私を知ってもらうために、未来のプロフィールを掲げてゆきたい。


もちろん、今まで辿った足跡も大切な歴史である。

けれど、その年表だけで伝わる情報はあまりにも少な過ぎる。

そんな思いもあって、上記のような経歴を掲げるに至りました。


今日、緊急事態宣言が発令されて

創作を辞めない、ということだけが永遠に約束できる唯一のことで、

そして今、ウイルスの蔓延で  私が地球の為に出来る事を考えていた。

人間一人が出来る事なんて  あまりにも小さ過ぎるけれど、

芸術活動を通して、少しでもポジティブな世界になればと祈っている。


未来のプロフィールがまた少し増えた。


透明Ⅱ

「透明 Ⅱ」

油彩 2019年制作 275×200mm
(個人蔵)


#自己紹介 #エッセイ #アート #絵画 #画家 #幻想絵画


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