色と音とで
私は長らく油絵画家として活動していたのだけれど、昨年からは実は、前々から取り入れたかった”ある要素”を盛り込んで新たな形で活動している。
ある要素 とは、音 である。
きっかけは、たったひとつの欲望からだった。
個展の開催期間中、一番多く聞かれる質問がある。
それは「どうやって描いているの?」という問いである。
次いで、「どんな思いで描いているの?」と聞かれる事が多い。
同じような類の質問を色々なお客様から何回、何十回と聞かれると、答えも毎回大体同じような内容になってくる。
頭の片隅で、あぁ、また同じ事繰り返し喋ってるなぁ自分、と質問に答えながら思う。
別に同じ人に同じ事を何回も言っている訳ではないので、相手は退屈に感じてはいないと思うのだが…、
喋っている本人が、ちょっとずつ飽きてきてしまうのだ。
そして同じ事を言い続けている自分にも、若干嫌気が差したりする。
私は昔からポエムを書くのが趣味で、(詩ではなく、敢えてポエムと言ってみている)友達もほぼほぼいなかったので、高校生の頃とかは公園の木の下でよく書いていた。
今読み返すと、本当に恥ずかしい気持ちになるような作品ばかり量産していたような…。
ほとんど自己満足で書いていたけれど、その頃から音楽が好きだったので、このポエムにいつかメロディを付けられたらいいなぁ、なんて思ったりもしていた。
そこで、そうだ、私の絵の制作過程や作品に対する思いなんかをポエムにして、曲にしたらいいんだ、と気付いた。
曲にしたら、何百回でも何千回でも同じことを繰り返し言ったってきっと飽きないだろうし、自分に嫌気が差すこともなさそうだな、と。
絵だけでは伝えることがどうしても出来ない部分を、曲に乗せて伝えることが出来たらなぁ。
こうしてこのたったひとつの欲望から、「画家」という曲が形になった。
「画家」というポエムをまず書き終えて、しばらくしたら、イメージに合いそうなメロディが浮かんできたので、合体させたら、曲になった。
そしてギターのコードを割り振って、弾き語り出来るように練習した。
その後は絵とは直接的に関係のないテーマ等も、興味の赴くままに曲にした。
今は、ライブの際には絵も飾ったりして、色と音の両方を鑑賞いただくスタイルでやっている。
(もちろん、画家として画廊での展覧会の活動も並行して行っている)
絵と音楽、遠いようで近く、似ているようで似ていない。
絵を描く事が 静かに自分の内面と向き合う時間だとしたら、音を奏でる事は 自分以外の誰かと激しく繋がる瞬間だと思う。
永遠に静的な表現と、一瞬の動的な表現、どちらも大切だし絶対どちらも必要だと感じる。
白も黒も存在する、絶望があれば希望も欲しいし、喜びで終わり、怒りから始まることもある。
色も音も、善も悪も、男も女も、ごちゃ混ぜなこの世界。
やりたいことやっちゃえば、と思う。
私は、そうすることにした。
「色と音」
アクリル画 2021年制作
※ライブは主に都内のライブハウスに出演しています。
展覧会は銀座のギャラリーが中心です。
最新の活動スケジュールは澁谷瑠璃webサイト、SNSをご覧ください。
Web→ https://ruryshibuya.jimdofree.com
Instagram→ https://www.instagram.com/rury_shibuya
Twitter→ https://twitter.com/Artist_Rury
YouTube→ https://youtube.com/@rury
この記事が参加している募集
記事を通して、あなたと出会えて嬉しいです。