半年ほど前から、販売用の小説が書けなくなってしまった。ここ数年、自分のやりたいことのトップに君臨していたのが『物書き』だったため、書けなくなるとどうしたらいいかわからなくなった。 書けなくなった理由は、 夏の終わりから、自律神経系の体調不良が続いて、パニック障害の症状が頻発するようになったこともあるし、 ずっとやってみたかった小説の販売を始めたものの、約2年やった結果の平均売上を見て、これを続けるべきか?と迷いが出たことも一因だと思う。 とりあえず体調を整えることに重き
上京してシェアハウスで暮らしていた時、住んでいた建物の向かいがラブホテルだった。 赤坂・六本木にアクセスが近く、目抜き通りからは路地を何本か裏手に入った場所だ。 あまりこのホテルに人が入っていくところを見た事がなかったので、はたして需要があるのかよくわからなかったが、まあここら辺で必要になる人もいるのかなぁ、とぼんやりと思っていた。 ある晩、私がいつものように近くのコンビニで夕飯を買ってきた帰り、ちょうどラブホテルの前に差し掛かるあたりで、後ろから声が聞こえた。
書くことを仕事にしたいと初めに思ったのは、高校生 の頃だ。 当時、単純に本が好きで、出版社に勤めることが憧れだったけれど、父親が何千万円かの借金と書き置きを残してトンズラするという、しょうもない出来事が起こるような家庭に育ったので、自分が大学に行けるという考えがまるでなかった。 (借金を悪のように思っていて、大学に行くために金を借りることすらまっぴらごめんだと思っていたのだ) 出版社に勤めて本を作るのは憧れだったけど、私の現状では無理だろう。 それじゃあ、本に関
自宅から徒歩3分のところにあるコンビニは、とてもフランクである。 例えば、ポスティングチラシについてるクーポンを持参すると割引してもらえるキャンペーンの期間中、うっかりチラシを家に置いてきてしまい、「あっ、クーポンを忘れちゃった!」と思わず声に出せば、レジの片隅に置いてあるチラシのストックを手に取った店員さんが、「じゃあこれで割引しちゃいますね!」とやってくれる。 ここは田舎の古い団地が立ち並ぶ場所。 ざっくばらんで口さがない年寄りのお客さんが多いというのもあるだ
「お前さん、ストリッパーにならないか」 と、東京の街で声をかけられたのは、21歳の初夏のことだった。 振り向いた先に立っていたのは、胡散臭い初老のおっさん。どう見ても怪しすぎて、常識的に考えれば、ついて行っちゃいけない類の人である。 けれど、街をぶらついていて唐突に提示された『ストリップ』という内容に興味を持ってしまった私は、毅然と断わ……れず、どうしようかと迷うような曖昧な態度をとった。 それを見て、押せばいけると思われたのだろう。 「見学だけでもしてみるか。