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木々に囲まれた湖に一人の女がいた。月明かりに、ぽうと浮かびながら、くるくる回っている。滑…
空を見ながらジャンプした。鳥のように飛びたかった。でも翼がないので、決して空に行くことは…
厳粛な空気の中、貫禄ある大人が、まだ小学生の女の子に意見を求めた。周囲で見守る大人たちは…
山登りに来ていた私は、岩山の窪みで休憩したとき、一瞬で意識が遠のくのを感じた。走馬灯のよ…
「今度、土地の名前が変わるらしいぜ」「誰だよ、そんな面倒なこと考えたの」「さあて、政府の…
太陽の傾く夕方。紫陽花の綺麗な通りのポストに、女の子がひまわりのシールを貼ったハガキを投…
海岸線を誰かが歩いていた。装いを見る限り旅の青年だ。浜辺前の道路に、荷物を積んだ大型バイクが停めてある。あの年頃では自分探しでもしているのだろうか。ふと気づくと、青年はその手に白い花を持っていた。そして波打ち際で、これを海に流し、手の平を合わせた。潮騒に乗る思い出は、きっと苦い。
「一つだけ花火として打ち上げられるとしたら何が良い?」「ハートマークだね。パートナーが喜…
骨折して入院した。相部屋はお年寄りばかりで、ベッドも入り口の近く。暇な時間が続いたとき、…
医者が俯いていた。嫌な予感が脳裏を過ぎる。思い返せば、あまり運動していなかった。煙草は吸…
巷で話題のラーメン屋がある。最後の一滴まで飲み干すとの触れ込みだが、移動式で神出鬼没。目…
宇宙人は地球侵攻に向けた会議をしていた。この星には人間という知的生命体がいるが、文明レベ…
友達に遊園地に誘われた。用事もなかったので、当日待ち合わせしてその日を迎える。思えば、遊…
犯人を映さないカメラが話題になった。犯罪を犯したばかりの人間だけ、そのカメラには絶対映らないらしい。何の意味があるのだろうかと人々は疑問に思った。ある日、噂のカメラが設置された金融街に強盗が押し入った。犯人は銀行強盗を成功させるが、ほどなく道端で、現金と犯人の服のみが発見された。