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短編小説の森

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私が書いた短編小説たちの倉庫です。カテゴライズしたマガジンにある作品も、全てここに集めています。   ※五十音順に掲載
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2022年10月の記事一覧

イルカに似ている [短編小説]

 神無月が終わって、街は一気に冬の衣裳をまといはじめていた。わずかに目につく取り残された…

瑠璃
1年前
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嘘だけはつかないで [短編小説]

 いつも通りの休日の朝が来て、和雄よりも先にベッドを抜け出しシャワーを浴びた。メイクが終…

瑠璃
1年前
61

幸せ・ホルモン・オムライス [短編小説]

 朝が来ていた。タイマーの切れたエアコンからではなく、少し開いている窓から涼しい風が吹き…

瑠璃
1年前
72

白い闇を抜けて[短編小説]

 人生を振り返る時、人類の歴史そのものがそうであるように「もしも」という考えは意味をなさ…

瑠璃
1年前
47

太陽がまぶしくて [短編小説]

 千代さんが死んだ。水曜日の朝に救急車で運び込まれた病院の集中治療室で、結局一度も意識が…

瑠璃
1年前
49

「代理出席」承ります [短編小説]

「ジューンブライドじゃないのがねぇ」  隣のテーブルから、ふいにかん高い女の声が聞こえた…

瑠璃
1年前
51

月から来た恋人たち [短編小説]

 なぜ男は来ないのだろう。子どもの頃にかぐや姫のお話を聞いた時、最初にそう思った。幼いなりの単純な疑問だ。月の世界から来た絶世の美女がいるならば、美男子がいても良いではないか。そんなことを保育園で一番好きだった保母さんに質問した記憶がある。 「ユイカちゃんは、月から来た王子さまに会いたいのね」  その時のことだったか、もっと後になってから言われた言葉なのかはもう記憶にない。だが、保母さんが言った「月から来た王子さま」という言葉は、ずっと心の中に残った。子どもの頃から月を見るの

迷宮の果てのミュシャ [短編小説]

 年末進行の中で、急きょ決まったインタビューだった。師走を前にした慌ただしさ以上に、編集…

瑠璃
1年前
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ロマンティストな織姫 [短編小説]

 電車は三分遅れで、いつも亜由美が降りる駅のホームへと滑り込んだ。  やっと外の空気が吸…

瑠璃
1年前
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