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後悔していること

1月から我が家で生活していた義母が施設に移って三ヶ月半が過ぎました。
誰に会っても「良かったね」と言ってもらえるし、「よく頑張ったよ」と労ってもらえます。
でも、こちらに呼んでおいて途中で放棄したという後悔の念は今も消えることはありません。加えて、とても反省していることがあります。

そもそも、この狭い家に迎え入れたことに無理があったのだとは思います。
引っ越すことも考えていたので、予定通りに春以降に来てくれていたら結果は違っていたかもしれません。そういえば義母は今までも何かとタイミングの悪い人でした。

来る前に考えていたのは、引っ越しは間に合わなかったので義母がこちらの生活に慣れてきたら、義母と夫でここに住んでもらい私が娘のところに行くということでした。毎日通い、義母と一緒に料理を作ったり、たまには皆で旅行したりして楽しもうと、普通の生活を夢見ていた自分はつくづく甘かったと思います。
実際のところ、義母にはもう普通に生活していける気力も体力もなく、近所の人達や親戚に迷惑をかけまくり、居られなくなっからこちらに来たのでした。

こちらに移動してすぐに届いた要介護1の保険証は、数ヶ月後の更新で要介護2になっていました。


要介護が認定されて保険証が届いたら、まずは指定されている居宅介護支援事業所に連絡しケアマネージャーを決めないと何も進みません。デイサービスなどの介護サービスを利用するには、ケアマネージャーに介護サービス計画書(ケアプラン)を作成してもらわないといけないからです。
役所から届いた事業所の一覧表の中から近い所を訪ね、対応してくれたケアマネージャーさんが数日後に来てくださり、ケアプランを立ててくれました。

カラオケと食べることが好きなことは伝えていたので、それならここが良いと紹介された施設は、お食事が美味しくて評判がよいこと、所長さんが良い人で、家族にはニコリともしない利用者さんが所長さんの前では笑顔で機嫌良く過ごしていること、定員が15名と少ないので職員の目が届くこと、カラオケも毎日のように行われていて人数が少ないので何度も順番がまわってくる等の説明を受けました。コロナで見学が出来ませんでしたが、良い感じの所を紹介してもらい義母も嬉しそうでした。本当は機能回復訓練が主のデイケアとレクリエーションが充実しているデイサービスの両方に通えれば良いと考えていたのですが、併用は出来ないとのことでした。合わなければ変えてよいと言われたので、その点は気がラクでした。ただ、その都度プランを書き換え契約を交わす必要があるそうです。

その時点での上限である週2回のデイサービスを利用することに決めて、朝9時頃迎えに来て、夕方5時前後に帰ってくる生活がはじまりました。施設に着くとすぐに入浴するので、義母は疲れて昼ご飯の時間まで寝ていたようです。午後は体操をしたりカラオケをしたりぬり絵や工作等をして過ごしていた義母は、ここでは自分が何をしても一番上手いと自慢気でした。

夫も私もこのデイサービスには本当に救われました。居ない間に用事を済ませ何とか生活がまわっていたのです。たまに義母が行きたくないとごねると、夫が怒って許さなかったので仕方なく行く日が多かったのは可愛そうでしたが。
急な出張で夫が3日間留守にすることなった時は、さすがに一人では不安でケアマネージャーさんに連絡してショートステイを頼みました。
ショートステイは二カ月前から申し込まないと利用出来ないと断られ、その3日間は連続してデイサービスに行ってもらえば良いと勧められました。

ガミガミ文句を言う夫がいなかったせいか、いつもなら夜8時にはベットに入る義母は遅くまで起きてはいましたが、テレビを見たり話したりしてのんびり過ごせました。昼間出掛ける用事があった日には帰りにデパートでお弁当等を買ってきたのも好評で、以来、食事作りに手抜きが出来るようになりました。
息子も協力してくれて、夕食に間に合うように顔を出してくれたのも嬉しかったようです。

義母が施設に入りたいと言い出した5月に、以前ケアマネージャーさんからもらっていた老人ホームを探してくれる会社のパンフに連絡をして、一か所だけ見学に行ったことがありました。結局その施設は遠すぎて入居は考えられませんでしたが、ケアマネージャーさんに相談したところ「そんなにお世話が大変なら毎日デイサービスに通ってもらえればいい」と言われ驚きました。毎日デイサービスに通っている利用者さんは多いそうです。義母はそれまで週2回でしたが、週4回に増やすことになりました。

ケアマネージャーさんからは施設は費用が大変高いので、近所に部屋を借りて一人暮らしをしたならば訪問看護も使えるし、デイサービスと訪問看護を上手に使って乗り切る方が良いのでは、と勧められました。
でも、そのプランは絶対に嫌だと拒否されました。いくら毎日家に誰かが来ると言っても、もし一人で寝ている時に何かあったら恐いのだそうです。今思うと、義母は一人が恐いというより毎日デイサービスに通うのが嫌だったのかもしれません。

結局その後はズルズルと、何も進展のないまま義母との生活は続き、いろいろあって見るに見かねた息子が以前お世話になったエージェントに連絡をし探してもらった施設に入居するに至った、というのが大体の経緯です。

急に施設への入居が決まったので、デイサービス最後の日に夫と共に挨拶に行きました。その時見た光景には、正直驚きました。こんな狭い作業所のような空間に、10人ほどの老人が押し込められて、ここで食事をして、ここでカラオケをしたり体操をしていたのか、と思うと胸が痛みました。

確かに所長さんは良い人で、送り迎えしてくれるスタッフさんも皆感じが良くアットホームな所だというのはわかります。内容が良ければ建物の規模や部屋の広さなど関係ないこともわかります。が、それにしても、このご時世に、これではあまりに密過ぎないか、とショックでした。

ケアマネージャーさんが付き合いのある所に紹介するのは当然のことで、そのことに文句はないです。駄目だったのは私達が何も動かなかった事です。せめて、義母が送迎の時間が長くておしりが痛いから行きたくないと訴えていた時に施設を変える事を考えるべきでした。普通に行けば車で15分位のところを、何人もワゴン車に乗せて行くので1時間近く揺られていたそうです。家から徒歩圏内にデイサービスに通える施設は何ヵ所もあったのに、5ヶ月も我慢をさせて本当に申し訳なかったと思います。

何事もそうですが、聞いたことを鵜呑みにせず、自分で見て納得しなければ物事を決定してはいけないと痛感しました。

今入居している施設は天井が高く立派な造りで、特に義母の部屋はモデルルームになっていた部屋で、クローゼットの扉などが他の部屋より少し豪華でラッキーでした。
狭い我が家で我慢して、さらに狭い作業場のようなところに週4日も押し込められていた義母は、今の住環境には十分満足して喜んでくれていると思います。そして、義母をこれらのストレスから救い出してくれた息子にも感謝しなければなりません。

 今後介護サービスの利用を考えている方には私のような失敗をして欲しくありません。
徹底的にリサーチして、目で見て確かめることが必要だと思います。


最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m


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