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もうひとつの平家物語 「華の巻」
平家滅亡後、さらに生き延びた女官たちは、どうなったのでしょう…。
ある者は、魚売りとなり、またある者は、遊女になりました。
日本の伝統的な楽器、三味線の曲に、「長唄」というジャンルがあります。
この長唄の中に、平家の女官を題材にした曲が江戸時代に作られました。
現在も残っていて、演奏されたり、舞踊化もされています。
その名も、「八島落官女の業」
一般的には、「八島官女」と言われている曲です。
内容は、魚売りとなった女官が、都での在りし日を偲んだり、
今の身の上を嘆くというものです。
月を眺めたり、海を眺めながら…。
この曲のはじめ、魚桶をもった女官が登場します。
そして、こんな興味深い歌詞が出てきます。
「小鯛買わんか~。」
小鯛!? どこかで…。聞いたことのある魚ですよね。
あの「こべけ」のことを言っているのではないのでしょうか…。
この女官が魚売りとなったのは、もちろん生計を立てるためではありますが、
海に身を投げて、魚になった他の女官たちの無念の思いを胸に、
人に食べてもらうため、魚売りとして生きる過酷な使命を背負い、
果たしていたのでは…。と想像しました。
作詞者は不詳ですが、この作詞者は、
平家の女官たちの、悲しい最後を知っていて、
無念の気持ちで散っていった彼女たちの生きざまに、
光をあててあげたいと、思ったのかもしれません。
「八島官女」は、歌舞伎で上演されるような、
華やかな曲でも、舞踊でもありませんが、
平家の落人、女官の、強くも悲しい物語を、
丁寧で細やかな、心理的或いは、情景描写によって
情緒豊かに表現された、優れた作品です。
この作品を上演することは、彼女たちの存在と、命の尊さを知ってもらい、
そして、なによりの供養にもなるのではと、思ってやみません。
今回は長くなりましたが、大河ドラマでは描かれない
もうひとつの平家物語を知っていただきたくて、書きました。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
💗いつも感謝💗 天海瑠璃
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