「哀れなるものたち」ラストのヤギ男の姿は痛快だったが、何故、今、この映画と思うところが大きいですね。
昨年のヴェネチア映画祭の金獅子賞作品。そして、今年のアカデミー賞では11部門ノミネートという作品なのだが、予告編を見ても何の映画かわからず、日本の興行はなかなか辛いだろうなという感じがした。で、明日から3週目に入ると、1日1回上映になるところが多いみたいだったので、本日昼間に観てきた。平日にしてはそこそこの客はいたが、観客はじっと観ていたが反応がわかりにくい作品だった。
監督ヨルゴス・ランティモス。主演エマ・ストーン。プロデュースもやっているらしいエマの存在感はなかなかだ。だが、話がなかなか陳腐にも見え、そこで社会風刺をしていくというのは、わかりにくい面が多い気がした。こういうの、日本人が好きか?と訊かれたら、「NO」と私はいうと思う。
で、最初のエマの身投げのシーンがあって、映画に勢いがつくのに手間取る感じで、少し、私に眠気が襲ってきた。ただ、彼女が自慰行為に目覚めたあたりから、なんか、交渉そうなものが、ほぼポルノに近い展開になっていくので助かったというところ。その辺も変な映画である。そう、これ、いわゆる日本で「ロマンポルノ」的な作品にパクってもいけると思う。昔のピンク映画界だったら、すぐ作っただろうね。もう、最後にプーチンの脳みそをクマに変えたり、習近平の脳みそをパンダに変えたり、岸田文雄の脳みそをゴキブリにしたりしてもいいよね・・。そんなこと考える映画です。
だいたい話が、身投げして死んだのに、身籠っていた子供の脳をお母さんに移植して新しい人生を送らせるという話なのですよ。いわゆる「フランケンシュタイン」映画の系譜と考えて良い。そして、その娘が結婚するだの、冒険するだのと言いながら、SEXに目覚めながら、社会を知っていき、最後には、医者になるという話。冒頭の観念的な始まりを考えたら、実にわかりやすい話である。18禁を強く強調してると思ったら、ほぼ無修正の上映。(多分切ってないとは思う。性器モロだしシーンもあるしね)。というか、昨今こういう映画が少なくなってきたからよくわからないが、映倫の基準はかなり変わったのでしょうか?
ともかく、そんなエロ映画みたいなものの主役をエマ・ストーンがやってるのだが、なかなか圧巻だ。そして、彼女が冒険していく中で成長していく姿が明確にわかるのが良い。こういう芝居ができると、アカデミーの主演女優賞もありますかね?
彼女が世間を知らない役なので、言いたいことを言う中で、ただのスケベに表現された男たちが理性を称えるのも面白いところ。そして、いろんな性癖の話も出てきて、そう言うのがある意味、マイノリティーとして容認される現代にこれを作ったという中で、観客がどう反応するかを作り手は見たいのだろうね。
しかし、幼児の知性だったエマが成長するのが早すぎる気はするが、これ船旅と考えても半年以内の話でしょう。ファンタジーだから、そういうのはどうでもいいのか?
と言うことで、画面もなかなか面白かったし、最後に、身投げした時のDV夫が出てきて、彼女を連れ去るが、彼も脳みそをヤギのものに変えられてしまうと言う顛末。変な話の中で、これが映画としては爽快感のラストになってるということは、やはり、これはコメディーと考えていいのでしょうね。
これが、もしアカデミー作品賞になったら、どう反応すればいいの?という映画ですけどね・・。
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