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「95」確かにあの年に、いろんな歯車が噛み合わなくなっていったような気はするが・・。

原作は早見和馬真の小説。脚本、喜安浩平。監督、城定秀夫。舞台は1995年、私も忘れもしない阪神淡路大震災があり、地下鉄サリン事件があった年。その時に、チームを組んで何かをやろうとする若者たちの話。何かその仲間たちの空気感は、学生運動のそれの臭いもあるが、それほど、社会を変えてやろうという感じでもなく、何か楽しいことやろうぜっていう感じなのだろうが、この時代にそんな強い主張を持った若者の群れがあったかいなか?

そんな仲間に入らないかと誘われる高橋海人。その彼が大人になった役を安田顕が演じる。安田にその頃のことを聞く役に桜井ユキ。しかし、彼女、朝ドラにも出てるし、露出が多くなって来てますね。まあ、私的にもいい女の一人には入ってはいるので、良いことなのだが・・。

冒頭、松本穂香がビルの屋上で歌を口ずさみ、高橋海人たちのグループは何か凄惨な雰囲気の中にいる。そして、場面転換して今の渋谷で話す、安田と桜井。こんな感じで、現代と過去が行き来する話なのだろう。この冒頭もそうだが、全体に城定監督の映像の紡ぎ方がなかなか良くて期待は持たされる。

ただ、あの頃、小室哲哉のが日本を席巻し、CDの販売数が極端な数を示していた時代。とはいえ、バブルが崩壊した後で、この事件のこともあり、心の中は未来への不安を極度に感じていた記憶がある。そして確かに1999年が近づいて来ていて、世の中の 終末観みたいなものがあったのは確かで、だからこそ 、オウム真理教みたいなものが増殖したのだとは思う。

その時代が舞台の話というのが、なかなか面白そうではあるが、なにが始まるのかはわかりにくい。で、髙橋を囲む男たちが中川大志、細田佳央太、犬飼貴丈、関口メンディーというのはかなり面白そうではある。まあ、演出の冴は、それなりの自信があるからだろうと見たが、どうでしょうか?

とはいえ、高橋を仲間に入れようとする喫茶店の雰囲気は少し古臭く感じるのは私だけだろうか?1995年というと、「不適切にもほどがある」で描かれた1986年より9年後である。どうもそのあたりの時代の差異があまり記憶にないのだが、こんなむさ苦しい青年もあまり記憶にないのだ。そういう意味で話にシンクロできるかどうかの不安がある私。

そして、冒頭で桜井が安田に差し出した雑誌の記事が彼らのその雰囲気と同じものには見えないのが、どうして?というところである。

とにかくも、高橋はこの仲間に入り、時代の中で、何を掴んで、何を失ったのかを問うようなドラマには見えるが、どうやったって、高橋が安田になるとは思えない。このミスキャスト?がどうドラマに影響するかも気になる初回でした。


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