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「不適切にもほどがある!(第5話)」背広を着た阿部サダヲに涙させられる時間の魔法

5話目ということで、これがドラマのターニングポイント。そこで、阿部サダヲと仲里依紗の関係は明確になり、阿部と娘の河合優実が阪神淡路大震災で亡くなっているというところまでがわかる。これが後半にどういう意味があるのかはかなり楽しみではあるが、しかし、最後に1995年にあつらえたスーツが2024年に、1986年の本人に着られるという流れは、今までどんなタイムスリップドラマも描かなかった高揚感を持っていた。そして、その姿で義理の息子と孫に迎えられ、タバコを一服。そう、こういうシーンで男がタバコを吸うって格好いいという形を明確に描いてくださった宮藤官九郎、うまいは!そう、タバコは有害なだけなものにしないのも大事なことだと私は思うのですよね。

で、今回はその阿部をお父さんと呼んだ古田新太が、その真相を語る初っ端の15分間から始まる。視聴者を少し混乱させながらも、古田が娘の夫だから、義理の息子で、仲里依紗が孫という話はすぐにわかる。ただ、古田新太の元の姿が錦戸亮というのは、なかなか掴みにくい。まあ、ステップは踏める古田ではあるが(「あまちゃん」でやったステップと変わらなかった気はするが)、ねえ、錦戸亮は演じながら、自分が古田みたいになるのか?と思わなかったかね?まあ、テーラー姿は両方とも似合っていたが、本当に、前回までのテイストと違うものをこうやって違和感なく放り込む宮藤の脚本は本当にうまいですよね。

で、錦戸と河合の出会いはバブル期。河合が川島なおみと同じ大学に行きたいとか言いながら、どこの大学に行ったかは知らないが、現役で女子大生になって、芸能界に騙されて入ったのかは知らないが、ディスコで黒服の錦戸に出会う。なんか、80年代のドラマチックなのはいいよね。そう、ボディコンワンレンで時代はそこに飛ぶ。そこで、ガミガミいう阿部サダヲは、もう一つ迫力に欠けていた気もするが、孫ができればそれなりにおじいちゃんになる過程を考えればこんなものでいいのか・・。

でも、こんなのばっかり描いてると、本筋が忘れられちゃいそうなので、現代のテレビ局で八嶋智人の不倫疑惑を追いかけるという、全然関係ないストーリーを普通にぶっ込んでくるも、オチがけん玉の練習していたっていうのは、イマイチでしたね。八嶋さん、この先も出てきそうですね。で、年末の紅白ではけん玉コーナーに出て欲しいものです。初めから、そんなこと狙ってる?

それよりも、いつの間にか、吉田羊が河合優実の保護者になっていて、PTAの役員にまでなってるっていうのは、どういう流れ?そして、連絡網で電話がかからない不登校の子の話が出てくるのだが、これがまたネタなのか?その子が吉田の息子と関わりそうな気配ということは、この辺でもう一つタイムパラドックスが起こりそうな気もする。そういえば、吉田の夫と息子のコイバナはどうなったのかね?そして、吉田羊と昭和の磯村勇斗は、「恋する母たち」依頼のイチャイチャモードになりつつあるが、ここも、膨らます気ある?

ある意味、今回はドラマのリセット回というか、次に進むブリッジ回だったのだと思う。だから、ミュージカル部分もなかなかハートフルなテーラーの話の中で行われ、まあ、主人公、小川市郎という人間が、皆に愛されながらも災害で散っていったという話に泣かされましたよ。

そう、タイムスリップ話にしては、80歳を超えた小川市郎が出てこないなとは思っていたのですよね・・。さあ、未来にきた主人公はここからどれだけ暴れて、あと9年しか余命がないという昭和に戻っていくのか?なんか、そう考えると、刹那いドラマにも見えてきますよね。いや、その9年後に死を回避する話も作れるよな、そういう展開もある?そういうテイストの多面性も考え、試行錯誤しながら書かれた脚本でもあるのでしょうな・・。

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