見出し画像

「最後まで行く」なんだか、冴えない男たちの正月映画というところですかね・・。

あまり情報を入れないで映画を観る人なので、これが韓国映画のリメイクだということは見終わってから知った。そう言われれば、この中身の思想みたいなのがあまりないのは日本映画にはない形だし、韓国映画にはこういう作品は多々ある。そして、警察の裏金が絡んでるのも韓国らしい。それは、いい悪いではなく民族性なのだろう。元ネタは見ていないから比較はできないが、まあ、よくまとまった映画ではあった。

話は12月28日から1月1日までの4日間の警察のダメな男たちの話である。そしてこの題名、主人公の最後の姿はそんな感じだが、「砂漠のトカゲ」という題名があっていると思う。でも、せっかくだから正月に公開すべき映画ですね。ダメな男が「今年はうまくいく」みたいなことを言うのだから、まあ、元気は出ないが、「死なないぞ」的な祈願はできそうである。

監督、藤井道人。と言うことで映画自体はよくまとまっている。そして、どう言う展開になるかわからないし、観ていて、最後にそれなりの疲労感を覚えるのは良い映画ではあると思う。ただ、出てくる警察の人間が全部ダメ人間なわけで、誰にも感情移入できないところに難がある。まあ、移入できるとすれば、最後に全部持っていってしまう柄本明だろうが、だからと言って、彼がアクションをこなしているわけでもないので、ある意味、中身空っぽの男たちのもがく姿が喜劇としか見えない状態。そう言うものを作ったと言うところだろうが・・。

しかし、主役の岡田准一、「ヘルドッグス」ではなかなかクールな殺し屋を演じていましたが、ここではクールなどとはかけ離れたダメ刑事。人を轢いてしまってビビって死体抱えて逃げる役なのだから、まあ役の幅が広くなったといえばそうである。ジャニーズ事務所としては昔は所属タレントにこんなみっともない役はやらせなかっただろうが、今はなんでもありになってきましたね。まあ、巷で過去の社長のやったことを叩かれてますが、どう未来を作っていくかの方が大事でしょう・・。だが、事務所かなりアウェイな感じですが、金は持ってるからね、・・。

ダメ男ながら、アクションは流石にうまくこなしていました。ラストの札束を積んだ中での綾野剛との打ち合いはなかなか見応えありました。札束が舞うのが虚しさにつながる演出も良かったです。

対する綾野剛。結婚式の日に嫁の親父に脅されているという格好悪さと、キレたら怖いみたいな演出は彼にぴったりですね。ある意味、どんな人格も演じられるパフォーマーですので、こう言うのは得意中の得意と言ってもいい。最後にボロボロな顔で車を運転してる顔がすごかったですね・・。あくまでも、主役の二人はヒーローでないことは、ラストシーンを見てもよくわかります。

先に岡田の年末を見せておいて、時間を前に戻って綾野の年末を見せていく構成は上手いと思いました。それをやることで、いろんな謎が繋がってくるのは見ていて面白かった。そして、大量の金があるところが寺というのも今風の話である。もはや銀行強盗してもたいしたキャッシュはないわけで、セキュリティ突破だけで面倒臭いし、今時穴ほって金庫に入れるわけでもない。となると、宗教法人が最も金を隠してたりしますよね・・。そういえば、大川隆法氏が亡くなってから、時間経ちましたけど、彼の遺産の揉めごとみたいな話は出てきませんね。たんまりどこかに隠してそうですが・・。

で、この映画、反社の人間で動くのは柄本明だけなんですよね、全てやさぐれた警察官が追いかけあってるだけ。そして、意外に人が死なない。駿河太郎は死んだのですよね?車が潰れたり、燃えたりするシーンはなかなか迫力ありましたが、やはり人が死んでいかないのはアクション映画としては爽快感がないなと思いました。そう、藤井監督のこの手の演出、行儀良すぎるのが今ひとつ私には合わない気もします。今、デジタル機材でどんなこともできるわけで、深作欣二監督の演出を超えるようなギラギラしたもの観たいと思ったりするんですよね。そんな演出家出てこないですかね?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?