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「スキャンダル」女子アナの評価など、どこの国も似たような物で、男のセクハラ視線は変えようがない。

ちょうど1週間前に見た「ハスラーズ」と同じではないが、女たちが男たちと闘うという点では似ている。世界的に女たちがもの言う時代である。この映画のモデルも数年前の出来事。これが、MeToo運動を昂らせる出来事だったとも言われる。

映画は、宣伝通り、シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーの三世代の華麗なるブロンド女優たちの演技でまとまっている。

テレビとその界隈の話ということもあるのか、とにかくセリフが嵐のように降ってくる。英語が理解できる方でもなかなか内容に追いつくのが大変なような状況。ましてや、単語でしか聞き取れない私など、字幕を追うのも忙しいが、その内容の少なさにモヤモヤが溜まる展開。

とはいえ、女たちがストレスを溜めて華やかな現場にいることはわかるし、マーゴット・ロビーが番組を勝ち取るためにパンツまで見せるシーンでは、自分もセクハラ親父になる始末。まあ、それほど、リアルな職場でセクハラと栄光がぶら下がっている空気感がよく出ている。

舞台は、前回のアメリカ大統領選挙戦の中にあり、トランプに敵対されるシャーリーズ・セロンの攻撃的なキャスター観は、アメリカ的で面白かった。ある意味、選挙戦をエンターテインメントとして捉えてのこともあるが、日本も、こういうキャスターがいればまた政治もいい悪いは別にしても活気は出るだろうと思う感じがした。とにかく、キャスターではないがNHKの岩田明子みたいに太鼓持ち商売してる女ばかりじゃテレビは腐敗するだけですよね。しかし、この映画トランプの顔がいっぱい出てきて攻撃的だ。

ニコール・キッドマンは、もはやお局さま的役割。確かに年齢は感じるが、女優としての大きさは、三人の中ではやはり迫力がある。そういう意味で、三人をうまく役割通りに演出する感じは、さすがハリウッドである。メイクアップアーティストとしてカズ・ヒロが参加、アカデミー賞を授賞したが、それぞれの女優を前に出しているのはその貢献度も大きいのだと思う。こういう人を国内に引き止められない日本っていう国は、同じようなものを作ったと想像しても、うまくいかないと感じさせるのは皆さんも同じだと思う。

アメリカのテレビ界の現状や、キャスターという職業の位置的なものが見えてこないと理解しにくいものはあるが、その中に、セクハラというものが存在していたことは、日本人でもよくわかる内容。

キッドマンがクビになり、提訴して、多くの共感者が集まってくるさまは、ある意味おぞましく、ある意味、思った通りというところだったのだろう。そこには、キャスターには見てくれの良さが必要で、それが視聴率として数字となり、ビジネスが成立しているという部分がある。日本など、そこでしかなく、女性キャスターと呼ばれる人間に対する男の価値観は見てくれだけである。女たちも、その武器で写真集など出して儲けたりする方もいるので、自業自得というか?昭和の時代から今までほとんど変化は見られない感じだ。アメリカのMeToo運動に対しては程遠い現場と言っていいのではないか…。

この映画、最後は思ったとおりにセクハラデブ親父は失脚するが、映画の最後のクレジットにもあるように、それで終わったわけではない。日本など、周回遅れで始まってもいない。だいたい伊藤詩織さんのレイプの話だっていまだに、彼女が誘ったということをいう人間もいるし、被告でレイプ犯にしか見えない山口敬之は、いまだ安倍晋三が護ってくれると信じていて、自分の過ちを認めていないのが現実だ。まあ、男女の夜の話は藪の中で済ませられればいいのですけどね。

映画の全体の質感はあまり好きではないが、作ることに意味がある映画なのだろう。世の中が基本フラットで、男女が本質的に認め合うセクシャリティだけで成立できれば問題ないのだろうが、なかなかそうはいかない。

この映画で描かれるような出来事は今日も世界中で起こっている。MeToo運動とは、それが少し公の場に出てきたばかりのところなのである。と、頭の中をまとめた観賞後のコーヒーブレイクであった。

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