見出し画像

「夕暮れに、手をつなぐ(第9話)」二人の感情の帰結と、その後にある別離と・・・

自分の望む未来の道が広がったところで、恋の力も増幅するというのは理解できる気がする。ラスト、抱き合う二人には確かな恋する感情があると同時に、結ばれないという現実を受け止めているような刹那さは、なかなかキュンとするところ。こう言う持っていき方は北川脚本うまい気がする。

まずは、先週広瀬が見てしまった、永瀬廉と田辺桃子が抱き合っていた姿は何かが説明される。田辺が「広瀬は黒羽真璃央と付き合うことにした」という嘘を永瀬につく。それにショックを受けた永瀬を田辺が抱きしめた感じだったようだ。まあ、こう言うタイミングの悪さみたいなものが恋愛ドラマの常套手段ではある。ただ、田辺も広瀬が好きだと言う部分をここからどう処理するのか?処理しないままでも構わないところではあるが・・。

そんな中で、広瀬は遠藤憲一に、自分の作品を盗られたことに納得いかず、アンダーソニアを辞める。そして、黒羽もそれに続くことに・・。そこで、自分のコレクションをしたいが、やり方もわからないし、金もないという現実。そこで、夏木マリが助言する。母親の松雪泰子を頼れと・・。

そして、その対面のシーンもなかなか良かった。広瀬が、感動の再会みたいなこともないのか?といい、松雪もそれに冷めたような対応をする。その対峙する温度みたいなものが、たまらなくリアルに見えたりもする。そして、母親は、「パリに来なさい」と言う。娘の仕事を認め、彼女のセンスを引き上げることで、亡くした時間を取り戻そうと言うことか?これはこれで緊張感のあるシーンになっていた。

そして、それがあった後で、遠藤がコレクションの盗作を止めると言う話を広瀬にする。そして、彼も暖かく広瀬をパリに送り出す。遠藤の盗作問題はあくまでも広瀬を松雪に合わせるための仕掛けだったようだ。

その前後の、広瀬と永瀬のLINEのやり取りは、すごく刹那い。ある一定の時間内に既読にならなければ、その「好き」と言うコメントを消すという行為は、これからの恋愛ドラマでもよく使われそうな手法である。考えれば、LINEに残る「メッセージが削除されました」と言う文言は、「何?」と思うことが多い。そして恋人同士なら、すごく後々までそれが気になったりもする。こういうSNSを使った恋の心理描写は新しくも感じるし、いかに有機的にそれがドラマを盛り上げるか?と言うところだろう。

そして最後は、夏木マリが仕掛けた、広瀬と永瀬の再会シーンにつながるのだが、二人とも大きな夢に飛び込むことができているのに、お互いに惹かれ合うところを我慢しなければいけないような感じ。そして、最後は溜まった水が溢れるように抱き合う二人。さあ、未来を向いたベクトルは止められないのだろうが、このドラマ、どのように着地させるのか?北川脚本に少しは期待している私がいます。


この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?