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「ボーはおそれている」結局は自己破壊に晒される、大いなる冒険劇

「ミッドサマー」のアリ・アスター監督。「ジョーカー」のホアキン・フェニックス主演の、一言で言えばキチガイ映画と言っていいのだろう。母の元へ帰省する話なのだが、この世の果てに追いやられていくような主人公。そして、結末も全く救われない主人公。こんな感じが人生だと思う人は拍手喝采なのかもしれないが、それにしても、3時間弱の長丁場、よくもこのような、ほぼグロテスクな映画が作れるものだと思わざるをえない。「ミッドサマー」の監督なら、そのカルト的な世界に拍車をかけたと考えればいいのだろうが・・・。

まずは、起点となるかなり変わったハーレム世界。道端に生きてるのか死んでいるのかそんな寝ている人がいっぱいいる。そして主人公は追われて自分のアパートに入ったり、薬を飲もうと思ったら水がなくて生死を彷徨い、店に入ればカードが切れず、母の元に旅立とうとすると鞄と鍵を無くす。自分の部屋は知らない人のパーティーに使われる。この辺まで見て、頭がパンクしていく。社会風刺であるとは思うが、なんともやりきれない情景。眠くなることはなかったが・・。

そんな流れでいつ旅立つのかと思ったら、車に跳ねられて、運転していた医師の元に。そこは、変な病気の患者が放し飼いにされてる動物園のよう。ここの医師はそれなりに優秀なようだし、奥様は彼をなかなか親切に介護してくれるが、他の病人には、襲われたり、変わったことを言われたりした挙句、結局、逃げ出す。

そして、ついたところがまたまた変な村。祭りか何か知らないが、一緒に芝居をやる羽目に。そして、スクリーンには、彼の妄想か、芝居なのかわからないような、過去と現在、未来が現れる感じ。そんな中で彼が顔も知らない父親らしき人が現れる。

そして、それを追って、彼はまた旅立ち、やっと故郷に帰れるのだが、母の葬儀がまたれる家に、知ってる女?が来て、流れでそのままベッドの中へ。疲れてる割には、彼女を満足させられて、彼女は腹上死。もう、本当に、えげつないシーンを次々に見せられると思ったら、そこに母親が生きて出てくる。死んだのは家政婦だったらしいとか、そんなのどうでもいいことですよね。

でね、多分、この後がこの映画の一番の見せ場だと私は思った。お父さんが屋根裏にいると言われ見にいくと、そこにはペニスのお化け。色々と怪獣や妖怪を見てきたが、こんなに気持ち悪いのは初めてかもしれない。これを見たら、自分の息子を気持ち悪がる男も多いのではないか?悪趣味もいいところだし、これを見たら逃げ出して当たり前。この映画15歳未満入場禁止だが、高校生の純な男の子が見たら、自慰行為ができなくなるレベル。

そして、海か川か湖か知らんが、ボートを出す主人公。そして、ついたところは、新興宗教の集まりの場みたいなスペース。そこには司会者みたいな奴と母親がいて、主人公は非難されるだけ。そして、打たれてボートが転覆してエンドマークっていう映画なんですよ。

3時間弱、まあ、異質な世界に放り込まれるのが好きな人はいるだろうし、こういう映画褒める人もいるのは知ってる。しかし、観念的なものだと思いながら見ても、気持ち悪いだけだった。そして、最後のシーンに、どこかの新興宗教の宣伝でも入れてくれるなら、「そういう映画なのね」としっくりきたのだが、それもないしね。まあ、そういうところに入る人は、人生にこんな感じで追い込まれて先が見えなくなって、口が上手い人に騙されるという話と考えればいいのだろうか?

まあ、自民党と統一教会の関係も似たようなものだろう。金と色でまとめ上げるみたいなね。そういうエゲツナイ社会の風刺と見ればそれなりに語れそうだが、映画としては私は好きな部類にないですよね。まあ、A24の映画っていうのは、何が出てくるのかわからない感じは面白いですけどね・・・。




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