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「劇場版SPY X FAMILY CODE:White」正月興業らしい華やかさを持ったグローバルに展開できる作品

テレビアニメで知って、キャラ設定は好きな作品だ。こういうシリーズを展開できる「少年ジャンプ」と言おうか、集英社の力は日本にとって誇りだと私は思う。雑誌連載から始まって、アニメ化やゲーム化まで考えてプロジェクトができてるのだろうが、ストーリーを作る人々には感心させられる。ある意味、金が動くところには優秀なストーリーテラーがいるのですよね。そういう意味では、今は実写映画よりもアニメの制作力の方が上だし、グローバル展開しやすいという意味で、ビジネス的にもやりやすいよね。

この作品の主役は、スパイと殺し屋とエスパーの擬似家族であり、エスパー以外は、他の家族の真実を知らないという設定がとにかく話を色々に展開できるようになっている。そして、そういう設定がエンタメとしてもいろんなことができるということで秀逸であるのはそうなのだが、ロイド、アーニャ、ヨルという荒唐無稽で実写不可能と思えるキャラを動かすのは作り手としては楽しいのだろうなと思いながら、ずーっとニヤニヤしながら観ていた。

話は、アーニャの学校の調理実習の話と、ヨルがロイドの浮気を勘ぐるところから、家族旅行の話になる。旅行といっても架空の土地の話なので地理的な距離感がわからないのがいまいちモヤモヤするが、まあ、それでも美味しいものを食べにいく旅は面白い。そして、列車の中や食堂で、事件のきっかけになる軍人たちとすれ違ってくところを描くのもなかなかうまい。そこに、ロイドを愛するスパイも加わって、架空の東西危機的状況をうまく描いてると思う。ある意味、この作りはハリウッドではできない作りである。まあ、アーニャみたいなキャラを作るのは日本人ですよね。そして、この物語はアーニャのキャラで成立しているのは確か。アニメでいうのも変だが、彼女の動きや表情を見ているだけで飽きないですよね。

そして、ロイドとヨルは同じところで闘わないという決まりがあるわけで、それを同じ飛行船の中で成立させる脚本もおみごと。ヨルのアクションシーンは、テレビシリーズ以上に格好良かった。不死身の敵に対しても、口紅を使って対峙するアイデア、最高でした。というか、ヨルが恋愛下手だというキャラも上手く活かしながらここに持っていくのもうまかったです。

そういう意味では、ロイドはヒーローではあるのだが、この二人に上手く守られてるわけで、その辺りが普通のスパイ映画とは違うわけだ。こういう作りもハリウッドでは作れない構造ですよね。でも、実写化をするなら、ハリウッドが名乗り出てくる気はする。キャラが無国籍すぎるで、日本での実写化は絶対に失敗しそうですものね。

とにかく、110分、飽きるところはなかったです。アクションシーンはとても鋭利な感じでしたし、アーニャのう⚪︎こが漏れそうなところも、ファンタジックで面白かったです。そして、マイクロフィルムがどこにあるのかと思ったら、歯に引っ付いてたってオチも好きだが、このフィルムの中身は紹介しなかったよね。面白いオチがそこだと思ったのだが、オチは、アーニャの調理実習が無くなった話と、フランキーがリキュール持って待たされる話だったということね。まあ、笑えましたけどね・・。

正月映画という言葉さえ、最近は無くなってるようだが、正月興業で一番になるのはわかるし、エンタメ性からも正月映画らしい派手さがあってよかった。まだまだ、このシリーズ、どういう展開に持っていくのかもよくわからないし、このヒットで何本かの映画が作られることは確かだろう。まあ、スパイ映画とスナイパー映画と超能力映画が一緒に見られるのですものね、楽しいですよ、次作に期待します。



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