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「メタモルフォーゼの縁側」これが、あるべき姿のPLAN75だろうと!思ったわけですよ!

鶴谷香央理、原作の漫画を岡田惠和が脚色、狩山俊輔が監督した作品。「阪急電車」以来の芦田愛菜、宮本信子の共演。あの映画の公開が2011年のようなので、11年後の二人。まあ、芦田がセーラー服が似合う年頃になったということであると納得する。観る上でいろんな要素があったが、安定の岡田惠和脚本だということが大きかった。そして、彼独特の柔らかくも、結構、見えにくい心の奥底に入っていくような作劇が、この話にうまくマッチしているなと感じた。

何日か前に「PLAN75」という、ある意味、リアル感がある姥捨みたいな映画を見た後だったので、この映画で、高齢者がもう一度、青春をやり直すみたいなストーリーは、とても心地よかったし、これこそ、日本が「PLAN75」として求めるべき生き方だと思った。主演の宮本信子は今年77歳。まさに、こんな可愛いお婆さんが増えて行ったら、日本は勢いを取り戻すよね!と思えるなと、頷いた!

いつもの岡田が作る脚本のように、そんなに大きなドラマがあるわけではないのだ。宮本がたまたま本屋で表紙の絵が気になって買った漫画がボーイズラブを描いていたもので、続きが読みたいという欲求から、本屋でバイトする芦田愛菜と知り合う。芦田は、クラスの中でのコミュニケーション能力があまりなく、自分でこもってボーイズラブの漫画を読むオタクであった。そんな、全く違う次元から、ボーイズラブの漫画を介して仲良くなっていくという話。そして、それぞれに、今の生活の殻を破っていく感じが丁寧に描かれている。そう、人間の心の動きを的確にドラマに落とし込んでいく、岡田脚本はここでも心地よい。

そして、宮本と芦田の演技の掛け合いは、いうまでもなく心地よいし、二人の寄り添う趣が、なかなか素敵であった。そして、一人では絶対できなかったろう、漫画を描いて本にするということを芦田が完成させるところは、物作りの初めて物語としては、よくある話だが、宮本のアシストもよく、なかなか見事に完成。その後のコミック販売ができないシーンは、少しあっけない感じはしたが、推しの漫画の原作者との思わぬ接触という流れは、なかなか感動的に処理されていた。

その漫画家役の古川琴音さん、久々に見る気がしましたが、人気漫画家の風格みたいなもの出せてましたね。この人、独特の色気みたいなものを持っていて、まだまだ伸びしろある役者さんだと私は思います。

先に書いたように、たまたま公開日が同じという皮肉みたいなものもありましたが、徹底的に、高齢者を邪魔扱いしようとする「PLAN75」のお口直しとしては、最高の映画でした。高齢者が若者から学び、若者は高齢者から学ぶ。これなくして、世界の未来はないのですよ。そんな、当たり前のことがわからない人が多すぎるのでは?そう、何歳になろうが、新しい趣味を見つけ、好奇心を養うという「PLAN75」をやらねば!と思った次第です!


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