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「劇場版ラジエーション・ハウス」成長する女性二人、それを熱く応援する清々しさ

テレビシリーズがそれなりに気に入っていたので、劇場版も、それなりに楽しみだった。これでシリーズ終了との話もあるが、今回のラストを見ると、更にこの先を描いてもいいという終わらせ方。でも、熱い◯◯で終わってるのは良かったです。まあ、この面子を全て揃えないと、このドラマは成立しない感じだから、この先を作るのもなかなか大変なのでしょうが、機会あればまた再会したい皆さんでした。

で、映画の話。ネットの感想を見ると、ほとんど「面白かった」という感想。まあ、ドラマのファンが見にいってるのだろうから、その流れとしてみれば、私も面白かった。そう、テレビドラマの映画化などそれでいいといえばいいのだと思う。だが、劇場で見せるというので、画角はシネスコサイズ。演出というか、構図の撮り方やカメラの動かし方など、結構、映画として作られている。そして、音楽も劇場版として作り直してることもよくわかる。そういう意味では意欲作なのかもしれない。

ただ、脚本の作り方は、ドラマ3本分を映画2時間にまとめました的な感じ。そう、予告編を見ると、離島で起こった感染症の話がメインで進むのかと思ったら、「交通事故と妊婦の話」「子供のカテーテル手術の話」「離島の古い機械を遠隔操作して病名を突き止める話」「離島の感染症の話」というような話がつながって描かれていく。正直な感想を言えば、詰め込みすぎだ。映画としてではなく、「東映まんがまつり」を見た時のような満腹感である。ああ、配給は東宝だから「東宝チャンピオンまつり」か…。

まず、タイトルに、自動車事故が重なるのは、あまりセンスがよろしくない。そして、この派手な事故でひっくり返った車を運転していた山崎育三郎、こんな軽い怪我で終わるわけないだろう。妊婦で植物状態になった妻の傷も少なすぎる。まあ、事故画像が派手すぎるのがいけないのですよね。こういう塩梅が日本映画、下手すぎ。C Gのスタッフと、本体とのコミュニティの悪さが原因?

いろんな話をなんとかうまく繋げようと、トリアージの話や、それに納得しない親族、災害時の72時間以内に助けないと死に至る確率が一気に増す話などがあるのだが、どうも、いまいち中途半端すぎる。これも、色々詰め込みすぎてるせいですよね。なんとか、話が散漫にならないように努力した後が見える。全編で出てくる、水の動きのスロー画像は、台風により不穏なことが起こる予感みたいなものを表したいのだろうが、少し多すぎる気も。

興味深かったのは、離島の古い機械を本田翼に技師たちが遠隔操作させて写真を撮らせるところ。そして、技師たちが感染症?の原因を調べていくところか。最近は、スーツケースの中に機材を詰めてこのように検査できるということを初めて知る。まあ、コンピューターの進化は医療現場でも機材の小型化を進めているということなのだろう。

あと、この映画で言いたかったテーマは、職業人のプロへの成長だ。まずは、広瀬アリス。サポートなしてカテーテル手術のサポートをする。周囲で応援する先輩たちの声に応え、その職務を終えた時の達成感、その経験値が彼女にプロの自信を持たせる。そして、本田翼は、離島で一人で災難を超えたことで大きな力をもらう。そして、ラストの勢いになるんですよね。二人の女性のそれを描くというのも、今風なのですかね?

もう、テレビドラマでキャラがすっかり出来上がってるわけで、そう考えると一本の映画としてのコクや、まとまりの良さはあまりない。これは、フジテレビの最近のスピンオフ映画に全て言えること。でも、そういうコンテンツのあり方、興行の仕方がもう当たり前になってることもわかってはいるが、色々気になるところが多い映画ではあった。ドラマファンとしては、全然、満足なものだったですけどね。


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