見出し画像

「ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~(第11話)」 事件解決の後のエピローグは綺麗ではあったけどね・・・。

ラストは、20時7分~24日24時。クリスマスイヴの1日をワンクール11回に分けて描いた実験的なドラマは、どう見ても成功とは感じられなかった。とはいえ、二宮和也が潜入捜査官として入っていた麻薬密売組織「アネモネ」は逮捕され解体という結果に至ったことで終幕。そのスクープを横浜テレビの中谷美紀が見事に生中継して、これも大反響。で、デミグラスソースを失ったクリスマスイブのレストラン「葵亭」は、お弁当で場をつなぐが、これで納得する客たちってなんだろうとは思ったが、まあ、タダになればそれもありか?

そして、事件が全て終わった後のエピローグ的な「葵亭」での恋物語はクリスマスイヴらしくはあった。これを見せるなら、やはり中谷美紀と大沢たかおの因縁や、桜井ユキと二宮和也の因縁などはもう少し初めの方から匂わせた方が良かっただろう。とはいえ、24時間の話の中でのそういう振り分けは難しいのはわかるが、タイムリープものよりは簡単なわけで、やはり、全体の構成の組み立て不足ということなのだろう。全体的に脚本演出に、本当に面白いものを作ってやるみたいな気概を感じなかったのは残念なところ。

中心になる、麻薬取引の話も、最後には、二宮と江口洋介、中村アンが同じ仲間だったということがわかるが、この辺りがわかりにくかった(というか、わざと行動を散漫にしてわかりにくくしたのだろうが)のは残念。まあ、最後に警察内にも本当のアネモネが潜んでいたというところは考えたところだろうが、ここももっとサプライズになる俳優を使わなくてはですね。アネモネの黒幕みたいな、遠藤憲一も無駄使いに感じた。一度もサングラス外さない役は勿体無いですよ。麻薬自体も出てこない取引現場、そして銃弾戦が起こらないのも寂しい。この取引倉庫にもクリスマスらしさは欲しかったかな?そこに、テレビ局の中谷が入ってきても、あまり興奮しないのが問題で、そういうドラマなのだよね。で、やはりそのテレビの生中継があって、街のオーディエンスの反響の画は出てこない。そう、最初から言ってるが、街の一般人がほとんど出てこないので、ドラマの大きさが広がらないのですよ。そして、時間経過が大事なのに、そこもあまりサスペンス感が出てこない。私の求めているものが高尚すぎるということなのか?

そして、その周囲を徘徊し犬を探していた佐藤浩市が「葵亭」の先代だという話もここで突っ込まれてもね・・。大体、葵亭と犬は全く絡んでなかったし。最後に、クリスマスツリーの前で佐藤と犬が再会する画は最初から考えていた気はするが、この犬をもう少し上手く使って欲しかった。ということで、佐藤がいなくても良かったドラマなわけですよね。なんか、ドラマの構成を考えていくうちに、もう一つ色が欲しくなって入れてみたが、使いこなせなかったみたいな感じね。

とにかくも、時間と事件の流れを追うことに忙しくて、あまりキャラクターの心根を描けなかったところで、印象が空疎な結果になったということか?このまま撮ったものを二時間くらいにまとめても、まあ凡作と言われるのがオチとは思うのはかなり辛い。

今年の月9ドラマは、北川景子主演「女神の教室」に始まり、木村拓哉主演「風間公親」、森七菜主演「真夏のシンデレラ」と、このドラマの4本。「女神〜」こそなかなか興味深い題材だったが、それにしても最後のまとめ方がイマイチだった気がする。「風間〜」は私のトラウマになるように、刑事や警察学校というものに対して違和感みたいなものを感じさせられただけ。木村主演のドラマ、しばらく出てきそうもないから、この作品が後々まで語られるだろう気はするので、なんだかな〜とは思う。「真夏の〜」は新人脚本家のオリジナル作品として期待したが、普通に下手くそな青春ドラマ。そして、ここまで役者を配して「混沌」としか表現しきれないこのドラマ。確かに、昔みたいにここでトレンディードラマを作れとは言わないが、局の編成もドラマスタッフももう少しまともなものを作って欲しいというのが私の正直な気持ち。未だに、この時間帯はCXの看板時間帯な訳で、そういう意味も含め、来年の奮起を期待いたします。

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?