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「にじいろカルテ」愛の表現の塩梅の良さ。そこに高畑充希の笑顔がうまく溶け込む

木曜の9時はテレビ朝日のドラマのメインタイムである。「ドクターX」の時間帯で、全く真逆の過疎地の地域医療ドラマをやる。なかなか面白かった。

脚本、岡田惠和は、「姉ちゃんの恋人」からの連投。新春ドラマ「人生最高の贈りもの」も含め、筆は絶好調のようである。言葉の選び方、シチュエーションの作り方、そして伝えたい世界の明確さで、今、この私たちの望む心のありかをうまく具現化して提示してくれている。とにかくドラマが初回から弾んでいる。

まずは、高畑が医者としてやっていけなくなって、途方に暮れる中で、光石研に会うところが良い。一方的に「虹の村」の説明を始める。すぐに、スマフォで村の検索をする高畑。そこには、「内科医募集」のテキストがある。導入として、わかりやすく、なんの躊躇いもなく視聴者を「虹の村」に連れていく。

そして、バスに乗る高畑。バスの車掌が伝える情報は、皆、おとぎ噺のような停留所の名前だったりする。このバス道中で他の客がいない中で、未知の世界に移動する感じはとても素敵である。

そして、この村、今までの過疎地の医療ドラマとは違った深刻さがあまりない。あくまでも、ここは高畑が医者としてスタートする夢の国なのだろう。

そして、ガサツな井浦新が、どのように高畑と絡んでいくかは見もの。「アンナチュラル」と似たような人柄だが、「西部警察か?」と水野美紀に言われるように少しファンキーさがある分、どう違う医師を演じられるか?でも、手術中にはちゃんとシリアスな顔になるのは流石の演技。高畑との凸凹コンビをどう勤めるか?

その2人の間に入るのが、今、勢い十分な北村匠海。この人、思った以上に振れ幅の大きい演技ができる。高畑と井浦の間に入っても存在感を目一杯出せる人だ。今年はさらに注目の男優と言っていいだろう。そんな3人のコンビネーションは、初回から良い感じがする。

そして、脇に水野美紀と西田尚美というのは、私的にはすごく嬉しい。お二人とも、本当に楽しんで芝居する人なので、とても共感できる。このドラマに関しては、他の脇役陣もなかなかの巧者揃い。画面の中に贅沢さが隠れている感じが良い。

舞台の診療所も、高畑がやってきて、とてもラブリーになるのもよくわかる。まさにここは「虹の村」なのだろう。そう、虹というからには「オズの魔法使い」もヒントの一つなのかな?そんなことを考えながら、ホームページを見ていたら、このドラマの人々の役名には、紅野真空を初め、みんな色がついている。こういうの好きである!そう、前作「姉ちゃんの恋人」では、なんだこのタイトル!と初回で思ったが、今回の「にじいろカルテ」というタイトルはすごくいいと思う。岡田脚本は安定しているし、最後まで見届けることができるドラマだろう。

あと、今、勢いのある、藤井風の主題歌「旅路」も良い選曲。

このコロナ禍のなか、一昨年前までは、数多くあった医療ドラマが作れなくなった。流石に病院ロケを普通にできない状況の中でそれは避けるしかないだろう。でも、ジャンルとして作るなら実際の病院が必要ないものをということでこの題材ということか?最初の病院のシーンでも映し方が今までとは違っていた。でも、こういう病院が大変な時だからこそ、医療ドラマが必要とも言えるのかもしれない。そして、そんな舞台でどう、現在の世界へのメッセージが紡がれていくのか?凄く楽しみだ。


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