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「舟を編む 〜私、辞書つくります〜(第7話)」セレンディピティとか多様性とか業とか、言葉の国で戸惑う者たち

回を重ねて7回目。辞書ができるクライマックスの前の最大難関ハードルが、紙の辞書がいるのかいらないのかという判断。しかし、紙の辞書をその並びでデジタル化すると容量がことの外いるというのは、写真データになるからだろう。そして、そうなると上手くリンクがかけられず無用の長物になる恐れもある。そう、デジタルとアナログを比較して、いいとこ悪いところを書き出せば、やはりデジタルの方が、色んな意味で有利には見える。だが、その一つ一つに接するときに他の情報に会えないのはデジタルの最大の欠点とも言える。これは、本屋で本を探すのと、PCの中で電子書籍を探すことに似ていて、本屋で本を買いに行くと余計な本が目につき買うことがあるが、PCで探すとそういうことはあまりない。つまり、この回の最初の方で言われるセレンディピティがないということだ。この辺りを俺はアナログ人間だとか言っている人が認識してるかどうかは???である。

そして、池田エライザが、ファッション誌時代の編集長に聞きに行く。今はネットメディアの編集長にアナログの良さを聞きに行くも、やはりデジタルの方が伝えるのは簡単だという。ビデオを使えば一目瞭然だし、写真を拡大もできるとかは、確かにファッション情報を送るには有利なことが多いだろう。そして、ここで言われるRBGで色使いをちゃんと伝えられるというのも大きい。私も思うのだが、ネットでデザインして、それを印刷すると微妙に違うところが多いし、なかなかこの辺りは難しいところであるが、ネットだとそういう苦労はないという話。そう、どう考えてもアナログって色んな意味で不利なのですよね。デジタル本が出始めの頃は、本の匂いが好きとかいう人も多かったが、それは皆が本に求めていたことではないでしょ。音楽もアナログ版の方が音に温かみがあるとかいうが、それは雑音にあなたが求めてる温かみがあるの?まあ、アナログの良さとは真相がよくわからないが、必ずあるみたいな世界なので否定はしないが、結果的には話を面倒くさくしてしまうことが多いですよね。

で、装丁デザインを頼もうとしているハルガスミさんの本は中が白紙でもその装丁があれば売れるとかいう伝説みたいなものが流れてるというが、それこそ、それを聞くと、アナログってな〜にと思うわけです。

とにかくも、「大渡海」をデジタルとアナログのセットで売るというところまでなんとか持っていくために試行錯誤の1時間。そして、他の出版社がビジネスにならないと辞書編集をやめていく中で、自分の会社が耐えて残れば一人勝ちだなどという野田洋次郎。そこで社長の堤に「それに何年かかるんだ」とか言わせるが、とういうことは、堤自身もそう簡単に辞書が無用の長物になるとは思ってはいないのだ。言葉が世の中に馴染むが如く、人間の習慣も同じである。そして、「多様化の時代」と言われるが、多様化とは異なるものが同時に存在することだとは、よく言った。確かに、もはやそんな多様化が当たり前になってき出しているのは確かで、それなりに必要とされたものは、簡単にものは廃れないのである。パソコンがあれば、他はいらない的な世界は絶対にやってこないということ。ここは人間の面倒臭さであり、面白いところでもある。

で、先に書いた、ファッション誌の編集長と池田の話の中で、編集長が、「歳をとると、先が見えるのが面白い」という。確かに、あのときああだったのに、今ここにいるみたいなことは自分自身を見ても多いし、成長しない人は立ち止まったままなんだというのも、先が見えること。そういう経験値みたいなものが人間としてはもっともアナログ感だと思える部分もある。

このドラマ、辞書の話を原点に、今の世の中を俯瞰で見ることにより色んなことが新しい視点で見えてくるのがいい。確かにインフルエンサーにフォローされたSNSは勝手に暴走を始めるし、ここでは、絶対連絡が取れないと思っていたハルガスミが勝手に向こうからやってきたりする。しかし、謎のインフルエンサーが勝村政信だったとは面白かった。

そして、私が他の項で醜いYoutuberの役をよくやらされると書いた柄本時生がハルガスミであったとは・・。しかし、彼、今回はやばい悪意みたいなものが全くない役で、ちゃんと普通にそれが演じ切れているのは、さすがですね。演技的に幅は持ってるのに、昨今、その辺が上手く使われていないことがわかる。彼をこういう役で使うのはNHKくらいだろう。

しかし、ここでの主人公の池田の顔が、本当に辞書が好きという顔になってきたのがすごくいい。多分、この人、プライベートでも好きなものにはこんな顔で突っ込んでいくのでしょうな。なかなか「尊い」女優さんですよ。これは、今回、柄本が最後に美村を見ていった「尊い」とはちょっと違いますよね。なんか、こういう話に確かにワクワクするようになってきましたな・・。さあ、クライマックス!来週からさらに面白そうな感じがします。

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