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「アムステルダム」1933年のアメリカのほとんど実話というお洒落

映画の舞台は1933年。回想的に1918年から1919年のアムステルダムでの生活が描かれる。そう、このタイトルは主人公三人が知り合った場所の名前から由来する。ある意味、友情の物語であり、彼らがアメリカから世界制覇を導こうとした輩と戦う話である。色々と、塩梅の悪さはある気がしたが、男2人と女1人の友情物語は、久しぶりだったので微笑ましかった。そう私どものように「冒険者たち」とか「明日に向かって撃て」を映画の一つの伝説として語るような世代にとってはその組み合わせは好きに違いないのだ。

だが、男2人は、そんなに格好つける感じじゃないし、女1人もなんか変な薬飲まされて病気がちだったりして、そう、ヒーローヒロインものではない。とはいえ、クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デヴィッド・ワシントンの3人はなかなか生き生きと役を演じているので心地よいし。クリスチャン・ベールやマーゴット・ロビーは私もそこそこお気に入りの俳優さんなので、2時間楽しかったと言って良い。

だが、話は、犯人扱いされた犯罪の真犯人探しであり、いわゆる三人の欲望的なものを掴みにいく話ではないので、もう一つ盛り上がりに欠ける感じではあった。調べると1933年とは禁酒法が終わった年であるのだが、そういうは話は全く出てこなったですね。それよりも、彼らが知り合った1918年という年は第一次世界大戦が終わった年であり。だからこそ、彼らは負傷兵と看護師という立場で出会ったわけだ。この辺のアメリカの歴史は詳しくはないが、そういうものをよく知ってると、この映画はもっと楽しめるのだろうなと思ったりはした。

そして、1933年には、もはやイタリアとドイツの独裁政権が立ち上がっていて、(ヒットラーはこの年に首相になっている)移民の国、アメリカにもその影響を受けた輩が結構な数いたのだろう。この映画はそういう背景の中で、戦争で傷いた3人が希望を求めて暮らしている話だ。最後のアムステルダムに向かう2人もそうだが、3人の未来は大変であるだろうことはよくわかる。そう、それぞれの人生は時代を選ぶこともできないし、明日は明日の風が吹くといった感じであるのですよね。

映画としては、最後の負傷兵のパーティーのシーンはなかなか素敵だった。1930年代のこういう音楽やダンスシーンは、いつ見ても良い。その中で、世界制覇を目論むものが、暗殺を仕掛ける。それを阻止する部分、まあスリリングに作ってあるが、達成感が弱い。この世界制覇の目論見のエグさみたいなものがもう少し説明されてればと思うところがほしかった。

とはいえ、主演三人の演技はなかなか素敵でした。


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