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名残が無い桜

桜がかわいいと思えるようになった
誰かに好かれようとしないと思う桜は
孤高の存在に見えて
いつまでも若いまま
桜は自然に任せて
散っていく
誰かに好かれようとした時に
その自分を空しく後悔した
十代の頃
人よりも凄い事をしてやると
出来そうもない事をして
凄いと言って欲しくて
自分に迷った
二十代の頃
うまい事いかない事ばかり
集まってきた日々に
イラつき
感情をコントロールするだけの
三十代の頃
リカバリーから悟りに向かう
その天竺を目指す
西遊記のような
現れる化け物を倒すというよりか
なぜ化け物となったのかが
気になって優しくなった
四十代の頃
今年の桜は自分にとても優しく
現れる
こんなに桜が気になった年は無かった
もう散り際を考えるようになったのかも知れない
どうやって散っていくのか
それは桜のように
自然に任せて静かに準備をして
豪快に一気に咲き乱れ
あと何日なのかもと
読めないような
潔い散り方で
水たまりに浮かぶ
その水たまりが乾いた頃に
桜はもうどこへ行ったのかもと
名残が無い

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