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あの冬の朝焼けは、やけに美しかった

こんばんは、るのです。
今日はいつか誰かに話してみたかった思い出話を。

私は一浪して大学に入っているのですが、19歳のころ大学受験をし直すため予備校に通っていました。そこが私の地元から離れたところにあったので、1年程予備校側が用意してくれる寮に入ってたんです。
これが初めての一人暮らし。

その頃の私は夜10時か11時くらいには寝て、朝5時に起きて少しだけ朝勉するというとてもストイックな生活をしていました(我ながら偉いと思ってる)。

朝5時というと夏は明るいのですが冬は真っ暗で、ほぼ夜と変わりません。
自分でこの時間に起きておいて、まだ人間が活動する時間じゃないでしょと、心の中で自嘲することもありました。

でもね、机に向かってカリカリ勉強してるうちにふと窓側からエネルギーを感じる瞬間があるんです。ふっとそっちを見ると、カーテンを貫くように朝日が真っ直ぐ射しこんでいました。

それがもうさっきの真っ暗な外と同じには思えないくらい神々しく輝いてて。毎朝、何回もその光景を見てるのに、いつもびっくりするくらいの様変わりでした。

「明けない夜はない」という有名なセリフを当時の私は思い出しました。
自分の現状と重ね合わせ、「今は苦しいけど楽しい将来のために」って自分を奮い立たせていたものです。

自然がくれる自分1人だけの映画館みたいな謎の優越感もあり、時間に余裕がある朝はうっとり眺めたりもしてましたね。

あれから10年弱経ちましたが、本当に唐突に訪れる強く穏やかな光や、心臓が少しきゅっとなる高揚感がたまに恋しい。

あの寮の1部屋にもう1度住めることは決してないと思うけど、いつかまた、当時の訝しいほど美しい朝焼けを独り占めしたいと思うことがあります。

今度は勉強しながらじゃなく、あったかいココアでも飲みながらね。