内発的動機づけと外発的動機づけ
1.はじめに
ド田舎で小学校から高校生まで陸上中長距離の指導をしています。一応大学まで駅伝に命を燃やしてやってきました。内発的動機づけと外発的動機づけについて持論を書きます。
前半は『モチベーション3.0』ダニエル・ピンク著を参照して動機づけの真実について。後半は自分の指導に活かしている部分を書きます。
『モチベーション3.0』は選手のモチベーションが上がらなくて悩んでいた当時、ものすごく衝撃を受けた本です。常識とか先入観は怖いです本当に...
2.ロウソクの問題
突然ですが問題です。ちょっと考えてみてください。
「テーブルにろうが垂れないようにロウソクを壁に取り付けてください」
答えは↓
答え
あーなるほどね。と思った方多いんではないでしょうか。単純ですけど結構考えちゃいますよね。発想の転換が必要な問題です。秒で解いたあなたはすごいです。
ただ話はここから。ある科学者が、実験でこの問題を2つのグループに分けて行わせました。グループは以下の2つに分けます。
Aグループ 「この問題を解くまでの平均時間が知りたいので時間を計ります。」
Bグループ 「上位25%にはお金あげますよ!1位にはさらに高額なお金!」
どちらが成績よかったでしょうか?考えてみてください。
答えは↓
答え
早く解けたのは報酬のないAグループ。Bグループより平均3分半速く解けました。
「は?」と思いませんか?私は思いました。え、報酬あった方が必死になってがんばるでしょ普通。必死になった方が強いでしょ普通。しかし普通や常識は大抵思い込みであり、それは真実かどうかはまた別の話です。報酬を掲示しなかったグループの方がパフォーマンスがよかった、これが真実です。
一方、科学者は次のような実験もしました。
箱から画鋲を取って実験を行ったのです。これによってひねりがないシンプルな問題になりました。同じグループ分けをした結果、こちらは報酬のあるBグループの方が早く解けたのです。
これらのことをまとめると、
思考が必要なクリエイティブな問題は、報酬が掲示されないグループがパフォーマンスが上がった。
シンプルで簡単な問題では、報酬が掲示されたグループがパフォーマンスが上がった。
いや、びっくり。
3.外発的動機付け
外発的動機づけとは、行動する理由が他人からの刺激による外からの動機づけです。ロウソクの問題でいうところのお金がこれにあたります。お金などの報酬もそうですが、怒られることや罰もこの外発的動機付けに該当します。要するにアメとムチ。「褒められたからもっと褒められるように頑張ろう」とか、「怒られないように死ぬほど頑張らなきゃ!」が外発的動機付けに当たります。褒めるか怒るかについて悩む指導者が私の周りにも非常に多いですが、残念ながらどっちも似たようなもんなんです。
外発的動機付けの特徴は以下の通り
1)単純な作業でパフォーマンスが高く、クリエイティブな作業ではパフォーマンスが低い
2)強烈にやる気が出るが、長続きしない
4.内発的動機付け
内発的動機付けとは、行動する理由が自分の興味・関心・意欲からくる自分の内面からの動機づけです。一番わかりやすいのは、「楽しい!面白い!もっとやりたい!」という気持ちです。また、「ここは頑張らないといけない、勝負の場面だ」と自分から思うことも内発的動機付けと私は考えています。
内発的動機付けの特徴は以下の通り
1)クリエイティブな作業ではパフォーマンスが高いが、単純な作業でパフォーマンスが低い
2)外発的動機付けほど強烈なやる気ではないが、長続きする。
5.自分の指導スタンス
私は内発的動機付けを重視しています。その理由は「自分で考え、行動できる人間」が、この先社会でも競技においても生き残ると考えているからです。それに関してはいずれ別記事で書きます。
ただ外発的動機づけで対応しているところはあります。これは選手がジュニア期であり、精神的、技術的に未熟であることによります。例を挙げると以下のようなとき
1)やる気のない選手が入部してきたとき
→学校教育の場である部活動ではこういう「なんで入部したの?」と思う選手も育成しなければいけません。こういった選手には外発的動機付けで一時的にやる気を出し、少しでも成果を出させ、そこから内発的動機付けにつなげることは非常に有効です。
2)ここぞという場面で選手が力を出し切れないとき
→緊張や舞い上がり、または気持ちのゆるみでここぞという場面で力を出し切れないとき、一時的に叱るとパフォーマンスが改善します。あとでフォローは必要です。
内発的動機付けに至るための具体的なアクションプランは次回、記事にします。
6.内発的動機付け、外発的動機付けの例
・内発的動機付け
TWO LAPS TC 横田真人さんの記事です。
・外発的動機付け
いわゆるスパルタ体育会系は外発的動機付けにあたるでしょう。昔ながらの高校の駅伝強豪校などがあたると思います。今はだいぶ変わってきてますが...
例えばこんな感じです。
監督による理不尽な叱責・体罰→「やらなきゃできなきゃ殺される」→嫌なこと、苦しいことに耐えられる強いモチベーション→長続きしないのでモチベーション下がる→徹底的な管理によってモチベーションが下がったのがすぐバレる→監督による理不尽な叱責・体罰→無限ループ
否定しているわけではありません。この中で素晴らしい競技成績を収めた方も多いし、こういった環境下でも楽しいと感じて内発的動機付けにつなげていった選手もいます。
7.最後に
なんかこういまいちまとまりに欠けて、伝えたいことが伝えきれてない感じになりましたが、次回以降補完していきたいと思います。
twitter含めて陸上についてアウトプットしていきます。トレーニングについてもアウトプットしていく予定です。有益になると感じていただけたらフォローをよろしくお願いします。
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