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【ネタバレ有】映画感想「映画ドラえもん のび太の地球交響楽」

なんとなく気になっていた新作ドラ映画を見たので、文字書きらしく感想でも書いていこうと思う。

【自己紹介】
るにさん…31歳男性。好きなドラ映画は創世日記

がっつりネタバレするので、気にする人は覚悟をして読んでください。

ちなみにネタバレ無しの感想ですが…

「音楽」をテーマに、ドラえもんという長寿シリーズの友情、努力、そしてSF(少し不思議)をしっかり踏まえた一作でした。
「ドラえもんの映画が見たいけどどうしようかな」と思ってるならまずおススメできると思います。
「大冒険」とまでは行かないですが、丁寧に描かれるストーリーや演出が心地よく、特にラストスパートのガーッと盛り上がる様子は是非映画館で見てください。
オーケストラをライブで見るのと家のテレビ画面で見るのとでだいぶ印象変わるとおもうので。


ということで以下ネタバレ。



あらすじ

冒頭、音楽の授業で主人公「のび太」は、リコーダーの演奏でクラスメイトから笑われてしまう。
「のんびりのんきな『の』の音」と子馬鹿にされ、嫌になったのび太はドラえもんのひみつ道具「あらかじめ日記」をこっそり使い、「明日の音楽(の授業)が無くなる事」を望んた結果、地球上からすべての音楽が消えてしまった。

ドラえもんの機転で騒動はなんとか収まったと思われたが、その裏で一つの影がじわりじわりと日常を侵蝕していた。

一方、リコーダーの練習を余儀なくされたのび太は、仕方なく河原で一人リコーダーを吹く。

そこに現れた謎の少女「ミッカ」
ミッカはのび太の演奏を気に入り、のび太やドラえもん、いつもの仲間たちを地球の周回軌道上に浮かぶ惑星「ファーレの殿堂」に招き入れ、
「音楽の力で惑星を復活させてほしい」と懇願される。

とは言え、のび太達は音楽に関して素人(静香ちゃんはピアノ弾けるけどね)。
ドラえもんの道具を頼りに運命の楽器を選び、演奏の練習をする中、のび太は今まで何度も上手く吹けなかった「リコーダー」を手にする事になる。

「ファーレの殿堂」を復活させていく最中、ファーレの殿堂とは何なのか、ミッカやその住人達は何者なのか、なぜファーレの殿堂は眠りについていたのかが、次第に明らかになっていく。
やがて、ドラえもん一行と殿堂の住人達は、惑星ごと音を食らう生命体「ノイズ」と対峙する。



聴覚と視覚で楽しむ音楽鑑賞


本作は兎に角「音楽の楽しさ」にフォーカスを当てた作品だった。
音を可視化する演出が随所に見られ、オーケストラや音楽に興味が向かない子供でも視覚的に楽しめるようになっている。

昔のドラえもん映画でお約束だった、のび太が「ドラえも~ん!」と叫んでからのイントロ~がなかったのは残念だったが、白鳥が飛び、過去から現在の音楽の歴史を感じられる映像は豪華で見ていてとても楽しかった。

ドラえもん一行とミッカ、チャペックや演奏ロボットたちがノイズを倒すために行った演奏は特に良かった。
演奏そのものは勿論だが、演奏後ノイズの抑え込みに失敗し、のび太が宇宙に放り出されたシーン、ここが素晴らしい。


あれだけ音楽が嫌いだったのび太が「音が聞こえない」と恐怖するのだ。

のび太がどれだけ呼んでも、叫んでも、誰にも届かない。
宇宙空間で音が伝わらない=ノイズに負け音を奪われた

というダブルミーニング。

音楽の敗北を聴覚的に訴える演出に思わず唸ってしまった。


僕が映画を見たのは土曜の16時。周りには子供客も多く、上映中にもかかわらず時折話し声が聞こえていたが、この時だけは観客全員が固唾を呑んでのび太を見守っていたのが印象的だった。


そしてクライマックス。
「夢をかなえてドラえもん」のフレーズ
演奏、ミッカの歌声、そして星の音が重なって、ひとつの音楽となり、遂にノイズを退けることに成功するのだ。

音楽の力が世界を救う…!


こんなん…好きになるしかないだろ!!!
エモさの波状攻撃を受けて思わず泣いちゃった31歳がここにいるぞ!


実直に描かれる「努力の大切さ」


本作には「音楽家ライセンス」というひみつ道具が登場するが、このひみつ道具ですぐプロ級の演奏が出来るわけではなく、練習するほどステップアップで上手くなっていき、それを可視化するあくまで補助的な道具だった(多分補正はかかってる)。

作中、ドラえもんは何度も「楽器がすぐ上手くなる道具はない」と言うのが印象に残っている。

ここの意見がどうも分かれているようで、「成長過程が悠長過ぎて映画としては地味」、といわれているようだ。

僕個人としては、成長度が可視化されるおかげか、ゲーム感覚で成長していくキャラクター達を見ているのが楽しかったんだけど、まあ言いたいことはわかる。

ただ、スッと上手くなってしまうとこの後の「『の』の音」の伏線が機能しなくなってしまうし、本作に関しては「音楽が上手くなること」よりも「音楽が好きになる事」に重きを置いてるのだろう。

のび太達がノイズに蝕まれて動けなくなったドラえもんを助ける為に演奏する際、一人河原で練習したり、お風呂場に入って夜な夜な練習するのび太の描写が無ければあのカタルシスは生まれないだろうな、とか思ったり。


ひみつ道具のギミック


物語のキーになった「あらかじめ日記」と、文字通りゲームチェンジャーとなった「時空間チェンジャー」
このふたつの伏線はかなり面白かった。

特に、野比家のお風呂に地球があるシーンはかなり衝撃的だった
日記の補正で寸分狂わずまるっと地球と風呂場の空間を入れ替える…宇宙に音を響かすためとはいえ良く思いついたな…

しかし、時空間チェンジャーは野比家の風呂を中心にどこまでの範囲を切り取ったのだろうか。
重力に違和感が無いようにするには野比家の風呂場全体が宇宙空間にすっ飛んでるのかもしれないな…

お前の日記で地球とお前の風呂場がヤバイ


それと、中盤で出てきた「運命の赤い糸」。

のび太とミッカを結び付けたのはリコーダーの音色だった。
のび太の下手なリコーダーをミッカが気に入った理由はおそらく「『の』の音」だと思うのだけど、それが後に殿堂を復活させるきっかけになったと思うと、あの音はミッカらムシーカ星人の魂に刻まれた音色だったのだろうな、と思ったり。

のび太のリコーダーが運命の楽器で、それを知らずとのび太に近づいたミッカちゃん…
二人が出会ったのは偶然だったけど、その偶然が奇跡を生んだのだ。

これってのび太の赤い糸がミッカちゃんに繋がってたと言っても差し支えないよね??(倒錯)


ゲストキャラクターたちの魅力


「ピピっと響いた🎵」

「今回のゲストヒロイン可愛過ぎだろ!」

予告編を見ているうちに「あれこの子可愛いな?」とは感じたけど、本作見たら最初から最後までずっと可愛かったので、僕の中でドラ映画ナンバーワンヒロインに認定しました。
いやロリコンとかではなく

今までのゲストヒロインって概ねのび太と同年代か年上のビジュアルで描かれてたから、ここまで明確に年下って感じのキャラは珍しい。
「のほほんメガネ」から「のび太」「のび太お兄ちゃん」と、のび太がお兄ちゃんになっていく感じがこれまた良いんだよな…。
いやシスコンとかではなく


チャペックも可愛かったな、健気というかいじらしいというか。
4万年前に別れたヴェントーと再会するシーン、自分の頑張った事を褒められに向かって行ったらとっくの昔に壊れていて涙するところとか。

ヴェントー、タキレン、モーツェルと、ミッカ以外は全てロボットですが、善で構成されているキャラクターばかりで、見ていてずっと心が洗われ続けてました。

ワークナー?良く知らん



その他、思った事柄

・入場特典で原作漫画の冊子がもらえるんだけど、事前に読むとひみつ道具の予習が出来るのが良。
・冊子に載ってないネムケスイトールの説明が一切ないけどそれはいいのか?
・事前説明無しでのび太メンバーのおもちゃを持ち出すドラえもん。お前らええんか。
・滅茶苦茶吹っ飛ばされるスネ夫のシーンがクソ面白い。
・シャンプーハットを使うドラえもん、明らかにツッコミ待ち。
・しずかちゃんのバイオリンが下手って設定が一切触れられないのには違和感。
・ミッカ達がアイスを食うシーンにちょっと意味深な間があった気がするけど、何のためかよくわからなかった。
しれっと挟まるミッカが野比家にお泊りするシーン(!)。寝巻きが明らかにサイズの合ってないシャツなんだけど(?!)。それ、誰のだ?
と考えた瞬間、ノマカプ厨の俺は死んだ。

・EDの主題歌が良い。流れてくる静止画がエモすぎてここでも泣いた。
・4万年前、地球に来たミッカの双子は地上の男の子と結ばれて、星に残ったミッカはのび太とお別れする対比関係が鮮やか。
・「有効期限切れ」と書かれた音楽家ライセンス。魔法が溶けて今まで通りの日常に戻った芸コマシーン。


ほか雑記

初めてのわさドラ映画が2006年だからもう18年経ってるらしい。
マジか、確か「のび太と恐竜2006」の主題歌「ボクノート」を良く聞いてたのを覚えてる、あの頃は…中学生か?
ずいぶん時間が経ってしまったんだな。

のぶドラの世代はとっくにドラえもんを卒業してしまって、なんなら新たに生まれた息子や娘たち親子でわさドラを見ているんだろう…

それをなんだ…?
31歳が…?一人で…?ドラえもんを…?

…なんか落ち込んでしまったのでここまでにしておこう。そっとしてくれ

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