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LIFULLの新卒企画が「最初にぶつかる5つの壁」を乗り越えた方法

こんにちは。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」で賃貸領域のサービス企画をしている、るなちです。

2021年に新卒入社して、悩んだり失敗したりしながらも周りの方に助けていただいて必死に走ってきた3年目。先日、担当施策の成果を評価していただき全社MVPをいただくことができました。

今回は書籍『プロダクトマネージャーになりたい人のための本』(翔泳社)にある「最初にぶつかる5つの壁」をもとに、新卒企画がいかに最初にぶつかる壁を突破したか考えます。


入社の決め手はビジョンの浸透

最初に、なぜLIFULLに入社したかお話します。
今新卒リクルーターをしているのですが、学生と話す中でよくこんな質問をいただきます。
「なぜLIFULLに入ろうと思ったんですか?」「入社の決め手は?」

数多の会社の中から、自分にあった会社を見つけるのは本当に難しいことですよね。私も、たった1つの選択をするまでにたくさん悩みました。

私がLIFULLに入社した最も大きな理由は、自分が心から共感できるビジョンや考え方が社員に浸透しており、プロダクトにも反映していると感じたからです。

就活では会社がどんなビジョンを持っているのか、を重視して会社選びをしていました。ビジョンとは、「将来的に企業が目指すゴール」です。自身の価値観と合っているのかを考える上で、最もシンプルで分かりやすい指標だと思っています。

実は、ビジョンや考え方に共感できる会社はLIFULL以外にもいくつかありました。しかしプロダクトを観察したり社員さんと話をしたりする中で、ビジョン実現のために積み重ねている実態が、どの会社よりも納得感がありました。

LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」というビジョンを掲げ、空き家問題を国と連携して解決しようとしていたり、外国人が住まい探しをしやすくなる「FRIENDLY DOOR」というサービスを運営していたりします。就職活動中に1ユーザー目線でサイト改善を提案したら、すぐにプロダクトの責任者に話を通してくれました。(今は、まさにこの部署にいます。)

LIFULLのビジョンを実現する上で大切にしていることについては、下記noteで紹介があるので是非ご一読ください。

このような経験からLIFULLのビジョンが浸透している仲間と一緒にLIFULLが目指すプロダクトづくりをしていきたいと思い、入社を決めました。

「最初にぶつかる5つの壁」を乗り越えた方法

LIFULLにはプロダクトマネジメントの文化があります。
私の職種名は「サービス企画」ですが、その文化のおかげで、私も担当プロジェクトのプロダクトマネージャーだと思いながら実際の業務をしています。その上で、当書にある「最初にぶつかる5つの壁」に深く共感したため、LIFULLに新卒で入社してから全社MVPを受賞するまでの3年間でどのように最初にぶつかる5つの壁に立ち向かったのか振り返っていきます。

プロダクトマネージャーを悩ませる5つの壁
引用:プロダクトマネージャーになって最初にぶつかる5つの壁と、乗り越えるために必要なこと

LIFULLにおけるプロダクトマネジメントの文化については下記noteで紹介があるので、是非ご一読ください。

1.決断の場面が多い

決断の場面が多いという壁は、1番最初にぶつかった壁でした。当書では、下記のように解説されています。

前職でどんな経験をしていたかにもよりますが、これまで以上に自分で判断し、決断を求められるのがプロダクトマネージャーの仕事です。担当するプロダクトがどんなものであっても課題は山積みでしょう。その解決のために本当にたくさんの人がプロダクト開発チームで動いています。

プロダクトマネージャーになりたい人のための本

LIFULLでは新卒1年目から、サービス企画の1人として自分で判断し決断することを求められます。上長や"利他主義"な周りのメンバーがフォローしてくれるので業務において困ることはないのですが、LIFULLには優秀な企画・エンジニア・デザイナーメンバーが揃っているので、解決のための手段が数多く出てきます。
多くの選択肢の中で、決断をスピーディーにしていくことを求められるのは、まだ自信を持って決断できるほどの経験や知識がない新卒企画にとって大きな壁となりました

こうしたときに、決断の手助けとなったのはガイドラインICEスコアです。

ガイドラインは、経営理念の実現に向けて日々の業務の中で順守する行動規範です。LIFULLには6つのガイドラインがあり、評価面談などの機会で定期的にふりかえる機会があるので社員に浸透しています。
普段の業務の中でも「一点の曇りもなく行動する、に従って判断しよう」というような会話があります。そのため、決断をする上で社員の共通認識であるガイドラインは大きな手助けとなります。

所属チームでは当書で紹介されている「RICE」の考え方も取り入れています。よりチームに適した形として「RICE」をそのまま使うのではなく「ICE」にするなどの変化を加えながら、施策リストのフォーマットに落とし込み活用しています。

2.他職種との連携が上手くいかない

2つ目の壁「他職種との連携が上手くいかない」は、乗り越えることで大きな強みに変えることができました。当書では、下記のように解説されています。

プロダクトマネージャー業務は関係者が多い仕事です。関係者が多いだけでなく、彼ら・彼女らの考えていること、性質、向かいたい方向性などをどれだけ本人に近い気持ちで理解できるかが欠かせません。

プロダクトマネージャーになりたい人のための本

LIFULLでは企画職だけではなく、エンジニア・デザイナーとともに「三位一体」となってプロジェクトを推進しています。
最初の頃は専門的な知識の話についていけなかったり、同職種に比べると気軽なコミュニケーションに抵抗があったり、迷惑をかけたくないという思いが強くなったりとバッググラウンドがかけ離れたエンジニア・デザイナーとのコミュニケーションは非常に苦労しました
しかし、今では「他職種との連携」は強みとなっています。全社MVPをいただけたことは周りのおかげだと強調する私に、先輩からこんな嬉しいお言葉をいただきました。

うまく他職種を巻き込んでユーザーの課題解決とビジネスへの貢献をするのは、「プロダクトマネジメントのすべて」の及川さんの話にもあるようにすごく難しいことです。
でもそんな難しいことをうまく成し遂げたので、受賞したのだと思います。

企画の先輩からいただいたメッセージ

このことは、自分にとって大きな自信につながりました。
壁を乗り越えた方法は、他職種の基礎的な勉強をした上で気軽なコミュニケーションを重ねたことです。具体的に、まずエンジニアリングの基礎的な勉強としてProg-8というプログラミングに関するオンラインレッスンを受講しました。

Prog-8

Prog-8を受講する背景は、部長が参加していた新卒交流会で「他職種との連携が上手くいかない」という悩みを話したところ、すぐに人事と調整して機会を提供してくれました。この出来事に限らず、部長をはじめとした先輩方はみんな「壁」を乗り越えるためにいつも親身になって手助けをしてくれます。

デザイナーに対する理解としては、Tama Design Universityの講義を企画メンバー複数人で見ました。
また、全社MVPを受賞した施策を一緒に担当したデザイナーと何度か仕事終わりに飲みに行き、その中でデザイナーとしてどんな仕事をしているのか、なにを考えてどんな思いを持っているのか等、仕事のスタンスの話も教えてもらいました。三職種上流で良い施策を生み出そうとすることで、同じ施策を担当したメンバーとは職種問わず短期間で親交が深まりやすいように感じます。

デザイナーと話す中で、企画である私が考えて決断しなければと思っていたことが実はデザイナーも一緒に考えたいと思っていたことがわかり、1つめの壁「決断の場面が多い」を乗り越えるための強力なパートナーとしてデザイナーをより良い形で頼れるようになりました。また、企画の利用しているユーザー行動分析ツールを使いたいデザイナーが多いという話を聞いたことをきっかけに勉強会を企画開催した結果、いっしょにツールを見れるようになり即効性のある「他職種との連携」の壁を乗り越える手段にもなりました。

下記noteはグロースフェーズにおけるデザイナーのあり方が紹介されているので、是非ご一読ください。

このように他職種の基礎的な知識をつけ、本人に近い気持ちで理解しやすくなったことで、普段の他職種メンバーとのコミュニケーションもしやすくなりました。結果的にコミュニケーション量が増えたことで「他職種との連携」の壁を越えられたと感じます。

3.正解がわからなすぎる

3つ目の壁は、まだ成功体験が少なく自信の持てない新人の私にとって最も大きな壁となった「正解がわからなすぎる」です。当書では、下記のように解説されています。

プロダクトマネージャーはその時々で進む方向性を決め、進み方を決断しなければなりません。その業務がひと段落した後も、下した判断は正しかったのか、明快な答えが出ないままのことも多くあります。

プロダクトマネージャーになりたい人のための本

正解を模索するうちに社内に目を向けすぎて「蛇足のだそくん」を生み出してしまうこともありました。
蛇足のだそくんとは、書籍『プロダクトマネジメントのすべて』(翔泳社)に登場する「偉い人の顔色ばかり伺って企画を通すことを考えてしまい、ユーザーに価値を届けることも事業収益をあげることも二の次になる失敗を絵にしたもの」です。

プロダクトマネジメントのすべて
引用:新人PM「あるある失敗」を回避せよ!『プロダクトマネジメントのすべて』共同執筆、小城久美子さんの視点

正直なところ、正解がわからなすぎるという壁は「乗り越えた」とは言い切れず日々立ち向かっている最中です。立ち向かい方としては、プロダクトアナリティクスの考え方を学び、生かすことです。

壁を乗り越えるのが難しい要因は、私が仕事で辛い・大変だと思う時が「施策の結果が出ないこと」だからだと考えています。企画メンバーはもちろん、エンジニアやデザイナーも巻き込んで施策をリリースするので、ABテストで負けたときにせっかく作ってもらったものを元通りにしてしまうことは非常に悔しいと感じます。それゆえに、そもそもABテストをする企画立案において絶対に施策の結果が出る「正解」はないのに、施策の結果を出したいと強く思う結果、正解がわからなすぎると悩んでしまっていました。

今は、プロダクトアナリティクスという手法を学び、たとえ施策の結果が出なくても市場学習と捉えることができるようになりました。 プロダクトアナリティクスとは、簡単に言うとユーザーの行動データを収集して、そのデータを使って最適なユーザー体験の創造をサポートすることです。 なので施策の結果に関わらず、「ユーザーの行動データを収集できた」ということに価値があり、そのデータを使って分析した結果は次の施策の「正解」のヒントとなります。

このように、わからなすぎる正解を一発で当てにいこうとするのではなく、「正解」のヒントを取りにいき最終的に正解を当てにいくことで立ち向かっています。
ただ施策が多く成功するに越したことはないので、少しでも毎回の施策成功率を上げるために色んな知見をためようと常にアンテナを張っています。

4.真の課題かどうかの判断が難しい

4つめの壁「真の課題かどうかの判断が難しい」は、乗り越えられる仕組みがLIFULLにあります。当書では、下記のように解説されています。

複雑に絡み合った要素のうち、表層化している課題に直結するものを探り当てることすら、最初は難しいと思います。それがプロダクトにとって本当に解決すべき課題かどうか、という問いに至っては、経験が浅いうちはなかなか判断が難しいかもしれません。

プロダクトマネージャーになりたい人のための本

この壁を乗り越える手段として、LIFULLは定性調査・定量調査ともに大きな強みを持っています。

壁の要素の1つである「ユーザーの真の課題を抽出すること」は、社内のユーザーファーストな開発の推進に取り組む組織と連携することで乗り越えられます。詳しくは、下記noteにも記載しているのでぜひご一読ください。

もう1つ、壁の要素であるプロダクト自体の抱える課題の把握は、プロダクト分析ツール「Amplitude」を利用したデータドリブン思考によって乗り越えられました。
LIFULLは、株式会社DearOne主催のGrowth Leaders 2023にて、Amplitude利用者がもっとも多い企業として「Best of Amplitude WLU」を2年連続受賞しています。
Amplitudeを活用してデータに基づいて考えることは、経験が浅く過去の知見が乏しいうちは特に役立ちました。

5.メンバーと対面で会えない

最初から完全リモートだった私にとってメンバーと対面で会えないのは当たり前だったので、壁であることをなかなか自覚できませんでした。しかし、今になって思えば無自覚であったものの壁は確実に存在しており、その壁を乗り越えることでかなり働きやすくなりました。当書では、下記のように解説されています。

伝えるべきことを伝える、聞くべきことを聞くのはもちろん、いまのチームのコンディションをメンバーの身ぶり手ぶりやちょっとしたしぐさといった非言語情報で察知し、問題がありそうであれば早期に手を打つことが求められます。これがすばらしいチームの運営のために、ひいてはプロダクトの成功のために必要なのです。

プロダクトマネージャーになりたい人のための本

先輩からご指導いただく時に加え、他職種との連携をする上でも、関係者・メンバーとのコミュニケーションが業務の基本となります。しかし、入社〜1年は完全リモートワークで、今でも週2出社にとどまっています。
そこで心がけたのは主なコミュニケーションの場となるSlackにおいて、相手に伝わりやすい書き方を学ぶことでした。次に、相手に対して信頼・尊敬・賞賛の気持ちを積極的に伝えることを心がけました。同職種の方に対してはもちろん、他職種の勉強もしたことで周りの方により強くリスペクトの気持ちを持っているので、惜しみなく伝えるようにしています。

slack例:賃貸MVPなど、気軽に賞賛できるリアクションもあります

slack以外にも、チームでの毎日の朝会に加え、プレキックオフ・キックオフ・進捗確認MTG・クロージングMTGなどたくさんのMTGに積極的な参加をしました。また、誰かの相談事項が少しでもあればすぐにMTGを設定して、細やかなコミュニケーションを取ることを心がけました。
そのおかげで、入社〜1年は完全リモートワークでも早くからコミュニケーションを取りやすくなったと感じます。

利他主義なプロダクトマネージャーを目指して

新卒企画が「最初にぶつかる5つの壁」をどのように突破したか、それぞれの壁に対して振り返っていきました。5つの壁を無事に乗り越えられた理由は、利他主義なメンバーがいたからです。
2021年に新卒入社して3年目、改めてLIFULLに入社できてよかったと思います。

LIFULLの社会的存在理由であり、究極の行動原則である社是「利他主義」。
入社してから、利他主義なメンバーや社内の仕組みにたくさん助けられてきました。就活中、「この会社の良いところは人が良いところ」とよく聞きましたが、人が良いというのはそれぞれ捉え方が異なります。
LIFULLは、目の前にいる人をHAPPYにすることで自分もHAPPYになれるという考え方での人の良さがあります。「最初にぶつかる5つの壁」をはじめ、壁にぶつかった時にはみんな親身になって一緒に乗り越えようとしてくれます。壁を乗り越えた先のキャリアはもちろん、自分から話せばプライベートなことまで真剣に相談に乗ってくれます。

この利他主義であることは、当書においてエムスリー株式会社CTOの山崎さんがおっしゃっていることにも通じていると考えています。

プロダクトマネージャーたるもの、自分の困りごとを解決するだけではなく、他人の困りごとも解決してあげて欲しいと思います。これは、「恋人や家族、大切な人のために何かしてあげたい」という気持ちと根本は同じです。プロダクトマネージャーに求められる一番の素質は、「どこまで人に尽くせるか、貢献できるか」というマインドだと考えています。

プロダクトマネージャーになりたい人のための本

これからも利他主義の一員として「人に尽くし、貢献する」マインドを持ち続け、利他主義なプロダクトマネージャーを目指していきます。

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