政令指定都市めぐり【第14回】

東海道新幹線を利用するとき、いつも「のぞみ」に乗っていると、新横浜から名古屋までの間に、新幹線の駅がいくつあって、それぞれの駅名が何かということまでは、ほとんど意識することはないだろう。

神奈川県から愛知県までひとっ飛びなのだから、その間に挟まれている静岡県の駅については、よほど知識として仕入れていない限りは、パッと出てこない。

そんなことよりも、車窓から見える富士山のシャッターチャンスしか考えていない人も多いのではないだろうか。

その富士山があるのは、どこの県なんだ?と静岡県民なら言いたくなるかもしれない。

今日は、「のぞみ」が停まらない静岡駅がある静岡市へ移動しよう。

新横浜駅から「ひかり」に乗れば、次の駅が静岡駅である。約40分で到着する。

新横浜駅と静岡駅の間には、東側から順に、小田原駅→熱海駅→三島駅→新富士駅の4つの駅がある。

ついでに言うならば、静岡駅の西側は、愛知県に入って最初の豊橋駅までの間に、掛川駅と浜松駅がある。

熱海駅から浜松駅まで、静岡県にはなんと6駅も新幹線の駅があるのだ。

それなのに、「のぞみ」の乗客のほとんどは、富士山のシャッターチャンスを狙っている人以外は、居眠りしながら通り過ぎているわけだ。

残念ながら、富士山のベストショットが撮れるチャンスは、静岡市よりも新富士市や三島市を通過しているときに訪れる。静岡市でも見えないことはないが、少なくとも新幹線の車中では、あまり良い写真は撮れないだろう。

とはいえ、静岡市は、秀吉の治世時に、徳川家康が築いた駿府(すんぷ)城趾があることで有名である。

1585年に築城された駿府城の周辺は、今は公園になっている。その公園の所在地は、静岡市葵区である。

そう、徳川家の家紋から、区名が誕生したのである。

静岡市には、葵区のほかに清水区と駿河区があるが、3つの行政区の中では、葵区だけが海に面していない。

清水区と駿河区の北側に、葵区は位置している。

先ほど、新幹線の車窓から見える富士山の話をしたが、清水区には「三保(みほ)の松原」という世界文化遺産(=富士山)の構成遺産に指定された絶景の地がある。

そこに行けば、天気が良ければ1日中見ていられるくらい、富士山の雄大な姿を拝むことができる。

また、駿河区には、家康が眠っている久能山(くのうざん)東照宮がある。家康が祀られているのは、栃木県の日光東照宮が有名であるが、実は、ここの久能山東照宮のほうが先に家康を祀ったのであり、日光東照宮はその後に建てられた。

最後に、駿河区には、弥生時代の遺跡として「登呂遺跡」があることでも有名である。

大昔から富士山は、人々に生きる勇気を与え続けてきたのだと思うと感慨深いものだ。









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