夏そして青春の匂い

友達がグループラインにぽっと、載せた電車の中で高校時代の匂いがしてえもくなったという文。どうやら制汗剤の匂いがしていたらしい。エイトフォーやシーブリーズ。この時期になるとCMで見かけるし、あの爽やかなパッケージと匂いは確かにえもさを感じる。

初めて手に取ったのはエイトフォーの黄色い缶だった。中学2年生の頃、塾に行く前のドラッグストア。私は文化部だったので、CMのような汗×運動×エイトフォーのようなことは出来なかったけれどそれでも少しでも爽やかでいたい。初めての使ったエイトフォーの柑橘系の匂いは、思春期の私にピッタリだった。大抵体育の後に使って、友達にも貸していた。逆もしかり。

そして高校に進んだあとは、もっぱらシーブリーズになった。たしか友達に借りたシーブリーズが、サラリとしていて気持ちよかったので乗り換えた。体育の後や楽器を弾いたあと、それから受験勉強中の気分転換の時も3年間ずっとシーブリーズがカバンの中に入っていた。

高校を卒業すると同時に、シーブリーズもエイトフォーも使わなくなってしまった。だんだん大人に近づいていくにつれて、あの青春を全面に押し出した匂いとパッケージが似合わなくなってしまったのか。青春は何歳までと決まっている訳でもないし、２回目のマスクで覆われている夏にシーブリーズを取り入れてみようか。

シーブリーズをさっと付けたら、あの40人以上がひしめき合っていた教室での混ざりあった匂いをまた思い出せるのかもしれない。