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ソメイヨシノが消滅する…変わりゆく桜

帰り道に、咲き進んでいた桜が綺麗だったので、iPhoneで撮影しました。

この場所は、以前ソメイヨシノが綺麗に咲いていました。
が、経年劣化で倒木の危険性があるとして、伐採されてしまいました。

そして、後にいろいろな桜の若木が植えられました。ここではこの「神代曙」と「紅豊」が主力のようです。
一般的には、ソメイヨシノの代わりには「神代曙」と「コマツオトメ」の品種が推奨されているようです。


実際、国内の桜の約8割をソメイヨシノが占めているそうです。

ですから桜と言ったらまずソメイヨシノを思い浮かべる方が多いのではないかと思いますが、『日本花の会』のHPによると、ソメイヨシノの苗木の販売が、病害虫予防のために中止になっていると掲載されています。

日本の桜の代表格の染井吉野(ソメイヨシノ)。
実は江戸時代後期に東京の染井で作られたクローンの桜。
クローン故に病害虫に弱いのだそうです。

江戸時代後期に生まれたということは、西行が詠んだ有名な歌
「願わくは 花の下にて 春死なん その如月の望月のころ」
の時代にはソメイヨシノは存在していません。
西行が愛した桜は山桜だそうです。
紀友則の歌
ひさかたの 光のどけき 春の日に
静心(しづごころ)なく 花の散るらむ」
も同様です。

梶井基次郎の
櫻の樹の下には屍体が埋まっている!
の時代には、もうソメイヨシノが登場しています。

そんなソメイヨシノですが、近頃寿命の話をニュースなどで目にする機会が増えました。

ソメイヨシノの寿命は短く、60年~80年と言われています。
ということで、戦後や東京オリンピック前後に植えられたたくさんのソメイヨシノが、一斉に寿命を迎えつつあり、「倒木の危険」に瀕している木も多くあるのだそうです。

そんな中、ソメイヨシノの苗木の販売が中止されているということは、いずれ、今のように春になったら日本中を薄紅色に染めるソメイヨシノを見る事ができなくなるという事です。
日本の歴史の中では、ソメイヨシノは江戸時代後期から、令和初期までの時代に存在した幻の桜として記録されることになるのかもしれません。

コブクロの「桜」福山雅治の「桜坂」や、森山直太郎の「桜」の曲を聞いて、
「昔は、ソメイヨシノという桜の花があってね…」
と語られる未来がくるのかもしれません。


ソメイヨシノの代わりに植えることを推奨されているのが、この”神代曙(ジンダイアケボノ)”です。

ソメイヨシノより、ほんのり色が強い印象です。

iPhoneにて撮影

ソメイヨシノと同じオオシマザクラとエドヒガンの交配種で、神代植物公園で生まれた桜です。


ソメイヨシノの花言葉は、「優れた美人」。

儚い感じと花吹雪。
卒業と、入学を象徴する花。

どの桜も綺麗ですが、
やはり、ソメイヨシノは独特です。
ぜひ保存して欲しいなと思います。

高尾に、文部省のサクラ保存林があります。
ここには、様々な桜が数本ずつ植えられています。


開花の遅い里桜が咲くまでまだひと月ほど、桜を楽しめると思います。










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