「産めや、育てや、働けや」という前に
インフルエンザ兄弟リレー
我が家の冬の恒例行事になりつつある風物詩。
毎年、冬に健康ランドに行くと
もれなくインフルエンザウイルスを頂戴してくる。
健康ランドに行って、健康じゃなくなるという
なんとも皮肉な展開を、これで3年連続で繰り返している。
来年こそは、冬の健康ランドには行かない!
…たぶん。(1年も経てば忘れてしまいそうな自分…)
さて、今年も例に漏れず、次男から順番に三男、長男と順番に発熱。
インフルエンザはどうして兄弟同時に発熱せずに
リレー形式で発熱していくのだろう。
今だ不思議でならない。
しかしまぁ、最近の病院の対応は冷たい。
発熱外来は事前に電話予約が必要だと言われ、電話をかけるも繋がらない。
30分間かけ続けて、やっと電話がつながったと思えば、
「予約でいっぱいで受付できません。他の病院を当たってください」
と断られる。
他の病院に問い合わせれば
「新規患者は受け付けておりません」と冷たく突き放される。
たらいまわしにされたあげく、
受け入れてくれたのは、2つ隣の市の緊急病院。
車で高速道路を飛ばして1時間。
道中、後部座席では3人の子どもたちが嘔吐や下痢で大惨事。
シートは汚れ、異臭が漂う中、咳と泣き声の大合唱。
まさに地獄絵図。
ハンドルを握りながら、絶望的な気持ちになる。
やっとの思いで薬を処方してもらい、解熱したものの
登校許可が下りるまでトータル約2週間半は自宅療養しなければならない。
発熱中の看病は寝不足もあって、心身ともにしんどいけど、
解熱後に元気を取り戻し、暇を持て余した子供たちを
家で面倒みるのもまたしんどい。
病児保育に預けようにも、インフルエンザは預かってもらえないし、
両親に頼ろうにも、高齢者への感染リスクを考えれば難しい。
結局、仕事を休み、自由を拘束され、看病するのは母親だ。
"Help me, someone!"
なんでもかんでも「母親のせい」にすんな!
子供のお世話だけではない。
「子どもが指しゃぶりを辞めないのは母親の愛が足りないから。」
「子どものオネショが治らないのは母親が子供にストレスを与えているから。」
「子どもが病気になりやすいのは、母親が健康管理を怠っているから。」
「子どもの行儀が悪いのは母親のしつけがなっていないから。」
etc…
何でもかんでも母親のせいにするのはやめてほしい。
そもそも子どもの成長や行動は母親だけで決まるわけじゃない。
家族、学校、地域社会、さらにはその子自身の性格や体質だってある。
なのに、社会は容赦なく母親を批判し、母親に責任を押し付けてくる。
古代とは違う現代の子育て
確かに、人類の成り立ちやホルモンの関係上、
女性のほうが子育てに向いている部分はある。
しかし、それが「母親一人でできる」という話ではない。
かつて、人間は家族+親戚+近隣住民などが
大きなコミュニティーを形成して生きていた。
子育てもみんなでしていた。
だから、母親が仕事に行くときは隣近所のおばちゃんが授乳したり、
母親が家事をする時は兄弟が弟妹の面倒を見ていた。
一方、現代の核家族では、玄関の扉を閉めた密室で、
母親が一人ですべてを抱え込む状況にある。
食事の準備、お風呂の世話、掃除、看病・・・
すべてが母親の肩に重くのしかかっている。
高齢者支援と子育て支援の差
私の祖父母は晩年、デイサービスやら、訪問介護やら、
手厚い支援を受けていた。
デイサービスは、自宅まで送迎してくれるし、
訪問介護は、食事を作ってくれたり、お風呂の世話までしてくれた。
なんと充実した支援だろう、と驚いた。
子育てにもそのくらいのサポートをして欲しい。と切に願う。
ベビーシッターの割引券など存在するものの、
使用制限が非常に多く、現実的ではない。
以前、寿司屋に一人で飲みに行ったときのこと。
板前さん「奥さん、一人?お子さんは?」
私「今日は夫が見てくれてるんです」
板前さん「理解があるイイパパだねぇ~」
と言われて、言葉に詰まった。
だってもし、男性が寿司屋に一人で飲みに来たとしても、
板前さんが「お子さんは今誰が見ているんですか?」
なんて聞くことはないはずだ。
それに、男性が「妻が子供の面倒を見てくれてるんです」
と答えたとしても、
「理解があるイイママだねぇ~」なんて言葉はまず出てこないだろう。
これこそ『子育ては母親がするもの』という
固定観念が根強く社会に染みついている証拠だ。
産めや育てや、働けや。とどの口が言うんか!
男女共同参画や女性の社会進出を本気で推進するのなら、
母親の負担を減らすための具体的で現実的な支援を整え、
社会全体で支ええる仕組みを構築していただきたい。
そしてなにより、
世間様の『子育ては母親がするもの』という価値観を変えていただきたい。
女性だって、社会で活躍したいと願っているのだから。
そして、インフルエンザウイルスは…
インフルエンザウイルスは息子たちの体内をリレーし、
夫の体を経由し、私の体内で見事に死滅する。
息子たちに正面から咳を浴びせられようと、
吐物の処理をしようと、
母親である私が感染することはない。
流石母親。
活躍してんじゃん。