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それでも、スキンヘッドや大きなハゲができてしまった女性に、ヘナクラウンをしてみませんかとお誘いしたい気持ち

「ヘナ」を使って描く「ヘナクラウン」をみなさんご存じですか?もしかしたら、メディアなどで取り上げられた写真を、ご覧になったことがある方もいるかもしれません。でも大多数の方が、実物を見たことは、ましてご自身が体験したことは、あまりないのではないでしょうか。

日本でのヘナクランの認知度が上がり、あわよくばヘナクラウン仲間が増えないかなという願いも込めて、この記事では全身脱毛症の私が、今月描いてもらったヘナクラウンの写真をアップして自慢しつつ笑、ヘナクラウンを紹介したいと思います。

ヘナとは、ヘナクランとは

ヘナを知らない方も多いと思いますので、まず少し説明をさせてください。ヘナ(Henna)はハーブの一種で、古くから薬や染料として使われてきました。今でも髪を染めるために使われる他、ヘナタトゥー(ヘナメヘンディ)などと呼ばれるボディペイントの染料として重宝されています。このヘナタトゥーは、イスラム圏の観光地へ赴くと、たいてい手軽に体験できる場所がありますが、国や地域によっては結婚式で花嫁が特別に施されるなど、古くから現代に続く、由緒ある習慣でもあります。

ヘナタトゥー(ここからはタトゥーのことを略してヘナと呼びます)は、ヘナペーストを皮膚に置き、数時間経ったのち、乾いたペーストをはがすことによって、ヘナの染料が皮膚に定着し、完成します。ヘナペーストは黒のような濃い緑色ですが、乾いたペーストをはがすと、接触していた皮膚の部分がオレンジ色に発色し、のちに茶色くなります。そして私の腕などですと、大体10日間ほど、そのまま定着し、模様を楽しむことが叶います。

ヘナアーティストの方がフリーハンドで模様を描いてくれるのですが、その美しさは圧巻です!インドに嫁いだ友人がいるのですが、彼女の結婚式に成されていた細かい模様のヘナも、きらびやかな民族衣装とマッチして、とても素敵でした。ただの消えるお遊びタトゥーというよりも、私自身は、ヘナはアートに近いものだと思っています。そしてムスリムの方には、幸運をもたらすお守りのような意味合いもあるのだと理解しております。

そんなヘナを、抗がん剤治療で髪を失った女性の頭に描き、それを「ヘナクラウン」と呼びはじめる活動が2000年代にはじまりました。

私は上記のBBCの動画を、ちょうど全身脱毛症が再発した留学先のイギリスで見ました。それまでも何回か「ヘナクラン」という単語は目にすることはあったのですが、自身がスキンヘッドになった時、改めて検索すると、このような記事が海外では多くヒットしました。ヘナクラウン、「ヘナの冠」は、初めは抗がん剤治療の女性が前を向けるように、まるでクイーン(女王)になった気持ちになれるようにと始まった活動ですが、現在では抗がん剤治療以外でも、なんらかの理由で髪を失った幼い少女からおばあさんまでが楽しめる、新しいおしゃれの形として普及してきています。

私の全身脱毛症とヘナクラウン歴

私は、小学校一年生で、初めて全身脱毛症を発症しました。ちょうどラオスに住んでいた頃でした。

異国の地で、ろくに言葉も通じない学校に入れてしまったストレスのせいでハゲてしまったのではないかと、両親は焦ったようですが、私自身は、まだ幼かったのと、インターナショナルスクールで、それこそ見た目も中味も様々な学友に囲まれていたおかげか、過度に見た目を気にすることはありませんでした。ラオスは仏教国で、小坊主さんたちに交じって男の子と間違えられるのは確かに傷つかないこともありませんでしたが、それくらいのことです。それでも母はできる限り日本に一時帰国しては病院通いをしてくれ、そのおかげかは分かりませんが、小学5年生の頃には髪も生えそろい、以後、しばらく自分がスキンヘッドであった時代は、記憶のかなたにありました。

それが、なんの拍子か、イギリス留学をした26歳の時に再発してしまいます。そしてスキンヘッドになりました。

髪が抜け始めた初期は「ああ、再発しちゃったなぁ」なんてのんきに思えたのですが、それはストレスの自覚がなかっただけで、しばらくすると、床やベッドに髪の塊が落ちているのを目にする度に、なんだか未来が暗く思えてしまい、精神的に参ってしまいました。ベッドの中で一日中スマホで、「ハゲ 女性」「スキンヘッド 日本人」などと検索していました。持病の片頭痛も悪化するし、もう留学中に修論を終えるというのは諦めようと、ある意味覚悟を決め、私は一年間のコースの授業が一通り終わったタイミングで、友人とモロッコへ旅行に行きます。そしてそこで、人生初めてのヘナクラウンをしてもらいました。

屋外の広場で初めて描いてもらったヘナクランは、私を陽気な気持ちにしてくれました。いつもはスカーフや帽子で頭を隠していたのですが、通りですれ違うモロッコの子供たちが声に出して「わぁお」と言うのがちょっとした快感になり笑、旅行中はスカーフをはずして過ごすことも多かったです。

その後、帰国し、一時期は頑張って治療しましたが、今は病院通いはお休みしています。相変わらずハゲのままですが、あまりそれ自体はストレスにならず、ハゲはいいから片頭痛治らないかな…と思いながら過ごしています。もちろん、髪生えてきた方がいいに決まってはいるのですが。コロナ騒ぎの中、鼻毛ないから感染する確率1%くらいあがっちゃうかな!?とかくだらないこと思うくらいには、気にはしていますが、一時期の鬱状態は脱した状態です。そしてヘナクラウンを日本でも楽しんでいます。

描いてもらったヘナクラウンとその経過

今月、久しぶりにヘナクラウンをしてきました。こちらのサロンで描いていただくのは、もう4~5回目なのですが、間が開いてしまって、約一年ぶりの訪問です。

モロッコでは、思い切りが足りず、ちょこっと頭の横に描いてもらっただけでしたが、今では頭全体を使って、大胆に描いてもらっています。これぞヘナクラウン!です。

美しくないですか?私はこの柄がとても気に入っています。アーティストさんが、フリーハンドで描いてくださっているのですが、初めてこれを体験した時は、本当にびっくりしました。私は美術鑑賞が大好きなのですが、本当に残念ながら、美術の成績はいつも3でした笑なので、小さなコーン(ビニールの△の袋で、先っぽがちょっと切られていて、絞り機のように働きます)で、滑らかにこんな絵柄を描けるヘナアーティストさんたちがマジシャンのように感じられます。私はいつも柄はおまかせしていますが、頭頂部をメインにしてほしい、右側に大きな柄をいれたい、などのリクエストはたまにしています。

これは去年の夏の作品ですが、描いていただいてから2日ほど経ったタイミングでの発色です。この時のデザインもとても気に入っています。

年上のお姉さんのように慕っているお友達と、浴衣の着付け教室に行った時の写真です。私は普段からカツラをかぶらず、帽子やスカーフで済ますことが多いのですが、浴衣はさすがにカツラが必要かな…と思っていました。ですが、ヘナクランと浴衣、案外良い組み合わせに思え、この時はカツラなしで街を歩きました。夏はカツラ、暑いので、助かりました笑

今お世話になっているアーティストの方は、天然の質の良いヘナを使ってくださっています。ですが、頭はどうしても発色が他の身体の部位と異なります。この浴衣の時と、今回は、少しジャグアタトゥー用の染料も加え、ヘナを調合していただいています。それをテーピングして、数時間置いて、こんな発色です。アーティストの方に全部やっていただいているので、私は何もしていないのですが、気持ちだけはいっちょ前に一緒に試行錯誤しているつもりなので、ヘナクラウンを描いていただいている時は、私も一緒に作品を作っているような気分になります。ヘナクラウンの完成をわくわくしながら待つのは、本当に楽しいひと時です。

今回は、頭でなく、腕にも少し描いていただきました。発色の差がお分かりになりますでしょうか。ヘナクラウンは一週間前後でだいぶ薄くなります。これは描いてもらって4日目の夜の写真ですね。

なるべく汗を拭きとって過ごせば、一週間は模様を楽しめるのではないでしょうか。今回のヘナクラウンは、人とはあまり会えないご時世ではありますが、オンラインの友達とビデオ通話する時の、話のタネになりました。相手も最近髪型を変えたなんて話題がしやすそうで、そういう意味でも、ヘナクラウンはありがたいです。

それでも、スキンヘッドや大きなハゲができてしまった女性に、ヘナクラウンをしてみませんかとお誘いしたい気持ち

ヘナクラウン、本当に素敵な取り組みだと思っていますし、私は今後も続けたいし、仲間が日本でもっと増えたらいいなと心から思っています。しかし一方で、急に髪を失うことになった女性に、ヘナクラウンをしませんか、と直球にお誘いするのは、ちょっと抵抗があります。

私は幼少期に一度、髪を失っています。なので、急に髪を失うという経験に、少しは耐性があったかなと思うのです。更に海外にいて、女性の装いや見た目にも、多様性のある環境にいました。そんな幸運な状況下の私でも、欝々とした日々がありました。現実がつらくて、時が止まってしまったように感じられましたし、無駄にインターネットで情報収集してしまいました。

どうにか「普通」でいたい、という気持ちは、「状況を隠す」というカツラとか、あるいは、「状況を改善する」という治療(ちょっと胡散臭いのも含めて)の情報収集に向きがちで、「状況を受け入れる」には、時間がかかるのです。ヘナクラウンはある意味、この「状況を受け入れる」状態にするためのきっかけや、受け入れてからのお楽しみな気がするので、なかなか髪を失った直後の妙に明るいテンションの時や、その後の現実を受け入れきれない欝々している時にできることではないかもしれません。

もし、この記事を読んでいる女性で、髪を失った方がいて、ヘナクラウンやってみたい!と思う方がいたら、ものすごく私はハッピーです。この記事を書いて良かったです。ご質問があれば、遠慮なくコメントください。でも、髪を失ったことで、欝々としている方がこの記事を読んで、「私も早く前向きにならなきゃ」とか「強くならなくちゃ」と思ってしまったのなら、それは止めたいと思います。落ち込んだり、欝々としたりするのは髪を失ったら自然と沸く感情だと思います。そういう気持ちの時に無理して前を向こうとする必要はないと思うのです。思い詰めるのはよくないですが、落ち込んだら落ち込んだ分、気持ちがまた浮上してくる瞬間が分かります。なので、そういう気持ちの方は、今後の選択肢に「ヘナクラウン」があるという知識だけを脳内にセーブして、自分の感情に素直になって、思い切り落ち込みましょう。私も初期はひたすら泣きながらカツラ研究をしていました。その後、スキンヘッドなりのおしゃれを考えた末に、ヘナクラウンをやってみてもいいかなという気持ちになりました。

それと、誰かにこれを勧めたい!と思っている方がいたら、それもちょっと立ち止まって考えてほしいです。おそらくスキンヘッドの女性なら、ヘナクラウン、一度くらいは耳にしたことがあると思うのです。がん治療など、今まさに治療をされている方は、ヘナクラウンを描きにいく余裕もないかもしれません。タイミングがとても大切だと思うので、よく当事者の様子を見て、適切なタイミングでオススメになってください。このノートを紹介していただくのでも、大歓迎ですし、英語でHenna crownといれると、いろんな画像が出てきますので、世間話の中でそんなものをお見せするのはありだと思います。

いろんな事情で髪を失う方がいるのは、わかります。今後生えてくる可能性がある方も、そうでない方も。これからどう生きていくか迷っている方もいると思います。ひとりひとりに寄り添えるほど、私には知識もなければ、その人の気持ちを理解できるとは言えません。それでも、無責任ですが、ヘナクラウンを選んでくださるスキンヘッドの仲間が増えたら嬉しいなと思います。渋谷のスクランブル交差点で、ヘナクラウンをして歩いていたら、ふと、正面から同じようにヘナクラウンをした女性とすれ違えたら、絶対心が躍ります。だから、ヘナクラウン、やってみませんか?結局、最後はオススメしちゃいます。

気合をいれたら、なんだか長いノートになってしまいましたが、ここまで読んでくださってありがとうございます。また違う角度からもヘナクラウンのノートは書きたいなと思っていますが、今日はこのへんで終わりにします。

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