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開巻有得〜“絶対悪”の正義と信念①〜

この辻政信つじまさのぶさんという方は、
一端いっぱしに戦場に立っている気でいた頃の私と
好みが合いそうだなと、密かにシンパシーを抱いています。

前田啓介『辻政信の真実
 〜失踪60年 伝説の作戦参謀の謎を追う〜』

Kindle unlimitedに登録していたので、無料で読むことができました。

彼を知ったのは、
忘れもしない2024年1月14日…つい先日です。

きっかけは、
十一面観音様の導きでご縁をいただいた尼僧さんから
追悼法会のお手伝いとして調査書を作成することを頼まれたこと。

事情を伺うと、尼僧さんがインドの仏跡巡りをしていた際、
導かれるようにバンコクの共同墓地を訪問することになり
現地の信者さんだけでなく、帰国後も信者さんの口から
その名前を伝えられたということで、
成仏のために御霊が頼ってきたのだと察したのだそうです。

その、頼ってこられた御霊が、
ツジマサノブさんという方だったんです。

私自身は、小学校に上がる前後の頃に
「幽霊が見える」と自称する近所の子どもから
「霊感が皆無。向こうから避けられている」
との評をいただいたのをまるっと鵜呑みにして、
長年「感覚的に見えない存在と交信する能力」とは
無縁のつもりで生きてきていたのですが

目に見える形でのメッセージの集積で
何かを察する機会があるのもまた事実です。

話が逸れました。

酷評を聞くと判官贔屓したくなる

この本の「はじめに」で取り上げられていたのは、
「絶対悪」という辻さんへの酷評でした。

「絶対悪」と、辻政信を形容したのは、作家の半藤一利氏だった。

 議員会館の一室ではじめて対面したとき、
 およそ現実の人の世には存在することはないとずっと考えていた
 「絶対悪」が背広姿でふわふわとしたソファに坐っているのを
 眼前に見るの想いを抱いたものであった。(『ノモンハンの夏』)

毅さん(辻さんの次男)がぽつりと言った。
「(半藤氏は)父に1回しか会ってない。しかも5分、10分ですよ。
 それで父の何が分かるというのでしょうか」

はじめに

よく知らない人への断定的な批判を聞くと
批判を言った側に反感を抱くのが人情というやつです。

この文を読んだだけで、
すっかり辻さんの肩を持つ気になっていました。

と言いつつ、
辻さんの名前を知ったばかりの頃に
「特攻隊員の遺書」についての動画を見て
「辻さんは送り出した側の人間なんだよな」
とモヤモヤしたのも私です。

当人のことを知らずとも
断片的な情報と想像力だけで
人物像を膨らませることもできるのが人間の業ですね。

今回は長くなりそうです。

→戦場に棲む山椒魚

付記

「優しいやつはいつだって誰かの中じゃ悪人だ」
が、それっぽいなと感じて拾いました。↓

2024年2月6日 拝



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