小説「よりそう~手帳と万年筆のちょっといいはなし~」第21話
ひょんなことから手帳階のスタッフ結城さんとランチ。悩みは手帳のあのメッセージ
手作り小説の第21話です。 (初めから読みたい方は、第1話をご覧ください。前回のお話はこちらから。)
「イカ明太のパスタとサーモンのクリームパスタでよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします。」とパスタ屋さんのスタッフが注文を確認して机を離れるのを確認して、
「これなんです。」と手帳のページを開いて見せた。
「ふむふむ」ややわざとぽく手帳のページをのぞき込む結城さん。
「たしかに、この上の文字は、下の文字と比べてちょっと字の形が違いますね。インクの色はもちろんですが。」
といって、顔を持ち上げ、こっちをしっかり見て話し始めた。
「この手帳を他の人に見せました?」
「見せたのは行きつけのカフェのマスターくらいなんですけど、いい質問だなって、それくらいで。」
「誰が書いたかはそこまで気にされていなかったということですかね?」
「たぶん、そうですね。聞いたところによると、そちらの眼鏡もあのお店で購入されたとか。」
「チーフから聞いたんですね。そうなんですよ。この眼鏡。正確にはフレームだけで、レンズは別途、普通の眼鏡屋さんで準備してもらったんですが、これをかけてから、一部の人なんですけど、何を求めているのかが少しわかるようになってきた気がしたんです。漠然となんですが、、、その組み合わせが見えると、止められなくなってつい、熱くなってしまうこともあり、逆にひかれちゃうこともたまにあったり、なかったり。」
「自分の時も、見えてたんですか?熱かったですもんね。」
ちょっと顔赤らめて、こくんとうなづく眼鏡の女性。
「ただ、もともと接客が苦手だったので、自信にはなったんです。でも、急変にびっくりしたチーフに話しかけられて、この眼鏡の話をしたんですよねぇ。」
「ちなみに何が見えるんですか?」
「なんかその人の光というかその人の色が見えるイメージなんですよね。悩みとかに関係していそうな。同じようなものが手帳にも見えて、その光、色かな、が合わさると周波数が合うみたいな感覚になります。」
「すごいですね。それって、手帳だけなんですか?」
「うーん、そこまでではないですが、文房具なら割と。」
「結城さんの関心の高いものっていう感じなのかもしれないですね。」
ちなみに自分の色は何色だったんだろう。
「確かにそうかもしれません。お笑いタレント見てもなんとなく、色が見える気がする。。」
「お笑い好きだったんですね。」
またもや、顔を赤らめてカックンとうなずく。 こういうしぐさが天然でかわいいなぁと思って今うのだが。。。
急に真面目な顔に戻って
「この万年筆ですが、ペリカンにふさわしくやや赤の混じったインクでのメッセージというのは興味深いですね」
「ペリカンにふさわしい?」
それってどういうこと?
22話に続く。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。すこしでも気に入っていただけたら、続編を書くモチベーションになりますので、スキをお願いします。
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