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妹たちへの贈り物

ファッションエッセイの名手、光野桃さんの、1994年六月から約二年間、雑誌ノンノで連載したエッセイをまとめた本だ。

時代が変わっても、少女たちが抱く悩みに変化はない。

恋愛、おしゃれ、友人との関係、夢の実現、結婚について。

この本は、本当にどの章も大好きで、もうボロボロなのだが、(綺麗な新品、書いなおそうかな、、)あえて一つ挙げるなら、

「素直なひとほどきれいになれる」

雑誌の編集者をしていた光野さんは、忘れられないある経験をする。

雑誌の読者の変身というページの企画で、補欠で急遽来てもらった女の子を見て、危惧を抱く。

「この女の子が果たして美しく変身してくれるだろうか」

事前に会ってはいたが、あまりに地味でありながら、どこか明るい感じの良さがあって、彼女を覚えていたから。

「明るい感じの良さ」

それだけの理由で彼女を呼んだ。

メイクをしていくうちに、彼女の様子が変化し、目に宿る光が強くなる。

肌が光を増していく。

最後にドレスを纏った彼女に、あの自信無さげな様子は微塵もなかった。

撮影後、カメラマンは言った。

「自分の美しさに気づいたんだね。女の人はそのときにきれいになる」

メイクアップアーチストは言った。

「彼女は素直なひとだったんだよ」

きれいになりたいと、素直に願う心。変化し、より良い自分になりたいと望む心。それがなければ、彼女は撮影に来なかっただろう。

素直さ。男性がどうかは分からないが、女性が内側から美しくなるには、外せない美質であると思う。


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