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過去の日記転載シリーズ

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2006年ごろから2011年頃までの過去の日記をまとめています
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#エッセイ

「音楽」にみる 2009年1月14日

三島由紀夫の「音楽」を読んだ。 今朝方まで椎名誠を読んでおり、昼に逢坂剛を読んだ私は、三島由紀夫を読む頃には 一日に天国から地獄に落ちたような、それぐらいの急激な変化を受けた。 椎名と逢坂は同時期に生まれているにもかかわらず、 それこそ天と地ほどの性質の違いがある。 が、どちらも私のこころにとてもひびくものがあり どちらかというと三島はそのどろどろとした文体で 真実のものをありのままに描いており 椎名誠の日記のように簡潔でさっぱりとした文体は、 実は私にとってはとても雲の

ドリンク 2007年12月12日

その瞬間、安堵が流れ込んだ。 安堵、とも、嬉しさ、ともとれないけれど、 ただその瞬間、涙が止まらなくなった。 自分が怒っているのか、嬉しいのか、安心したのか、 わけが分からなかったけれど とにかく、人はみんな一人一人、抱えているものがあって でもそれは全部、つながっているということを 体全体で感じた。 どんなに頭で割り切ろうとしても割り切れないものが あるんだ。きっと。 浮かんだイメージは、喉に流れ込む液体。 私はそれをごくごくと飲む。 これだ、欲して

見えないドラマチック 2009年3月20日

ドラマチックには、見えるものと見えないものがあると思う。 見えないドラマチックは、こころのどこかにふたをしてあって だけどどうしても時々、あふれ出す。 ドラマチックだから、あふれ出さずにはいられないときがある。 それは時々病的で、不健全で、もろくて危うい。 見えるドラマチックは、実にヘルシー。 好きなときに好きといえる、好きなものを好きといえる、 感動したときに叫べる、泣きたいときに泣ける。 健康的。                 * 天気がよくてあったかい日が続くと

特別な244049 2009年3月4日

24時40分49秒をさしたまま、時計が止まっている。 12時40分49秒でもいいんだろうけど、たぶん、 ほとんどたぶん、それは24時40分49秒だろうと思う。 とまったまま、時計が忘れられている。                    * 24時間の中のとある時間に、特別な感情をもつことがあります。 いや、特別な感情を持つ「時間」というものが 1日の中にいくつか、あるのです。 たとえば、6時50分。 小学校高学年のとき、その時間に家を出ないとバスに間に合わなかった。 だ

ほんの少しの、水で 2009年02月24日

黄色いガーベラを買った。 ガーベラはピンクのイメージだったけど 今日はどうしても黄色いガーベラがよかった。 白い花瓶に刺すと、部屋は春の匂いになった。             * 春は、むこうがわから優しく包むようにやってくる 冬は、迫るようにやってくる 春は、雨が多くて、一雨ごとに暖かくなる 冬は、きんきんに晴れて澄んだ空気が突き刺すよう でもきっと、春も冬も、女の子だと思う。 季節はみんな、女の子だと思う。 私は9月生まれだけど、9月の通り雨のようだと、言われたこと

うつくしい人 2009年07月28日

汗をびっしょりかいて眠ったら お母さんが心配してくれた 心配してくれる人がいるのは嬉しくて ずっとずっと熱が出ていればいいと思った 自分の手足の感覚や動きがおとぎ話のようで まったくウソのような感覚 引っ越すなってことじゃないの、 と言いながら、とうとう寂しいことを認めたお母さんは ノースリーブのピンクのブラウスに 黒いネックレス、黒いパンプス 黒いネックレスなんて珍しいね? というと じいちゃんが昔買ってくれたのよ じいちゃん、とはてっきり自分の父親かと思ったら お父

空は空だけで 2009年4月30日

昨日言ったことはウソになり 今日言うことは戯言で 明日言わんとすることはきっとかなわぬ夢になる 「搾取する側とされる側、気味の悪い勝ち負けが明確にされた場所で、 自分の個性や判断力を埋没させている姿に貧しさは漂うのである。 必要以上になろうとして必要以下に映ってしまう、 そこにある東京の多くの姿が貧しく悲しいのである。」              (「東京タワー」リリー・フランキー) 必要以上になろうとして必要以下に映ってしまう。 それは醜く、悲しく、虚しいように 思ってし

流れ星 2009年1月4日

流れ星を見た。 たくさん、たくさん。 オリオン座の三つの星の一番上から ひゅんひゅんひゅんひゅん。 空がどこまでも、どこまでも広くって、 夜空には宝石をちりばめたように たくさんの星がきらきら。 そして、流れ星。 とめどなく流れる、流れ星。 あんなにたくさんの流れ星を見たのは、初めてだった。 何もかもが四角いお父さんと 小動物のようにくるくる動くお母さんと 酔っ払って絡んでくるおねいちゃんと 会うたびに泣き出してしまうおばあちゃんと お墓の中から静かに見守るおじいちゃ

一番泣いた日 2008年4月30日

涙はね。一生懸命生きてると、出るよね。 一生懸命生きてても辛いことがあるのってなんなんかな。 そういう人は不幸なんではなくて人生が豊かなんだと思うから。 収穫の多い人生なのですわ。 ----------------------------------------------------------------- <最近読んだ本> 「ポトスライムの船」 津村記久子 「悼む人」 天童荒太 「放課後のウォー・クライ」 上原小夜 「ガール」 奥田英朗 「100回泣くこと」 中村

原点 2009年2月8日

世界の平和とか幸福とか そういうことを本当に願うことはすばらしいけれど それをエゴの道具にしてしまう 金持ちインテリが嫌いだ。 その前に自分の足元をごらんよ。 あなたの身近な人は幸せですか? 森も自然も大好きで 緑豊かな環境が何よりも大事だと信じていたし そこにロマンを見出す科学の世界は輝かしいと思ったけど それを資本主義の道具にしてしまう 似非エコロジストが嫌いだ。 土壌の研究に日夜費やす科学者のロマンを感じてごらんよ。 あなたは豊かな緑がもたらしてくれる贈り物を知ってい

ストロングセブン 2009年1月13日

1月10日までに自分で自分に課してたモノを終えて でも振り返れば振り返るほど 自分の低脳を思い知るような気がしてきた。 ずっと風邪っぽくて のどが痛くて体が重かったけど 今日カップラーメンを食べたら治りました。 ほんとかよ。          ☆ 「たとえばじゃがいもが自分のこと嫌いでも、  自分はじゃがいもが好きなら、それが愛なんだって」 って言ってる友達がいて あーなるほどーって思ってたのに 次の日、宇宙人みたいな別の友だちに会ったら 「アレ、わしが最初に言ったん

コスモス 2009年3月1日

おまえ、また忘れたのか。   ええ、そうみたいですね。 どうしてそうすぐ忘れるんだ。   どうしてでしょう、なんども、忘れますね。 なんども、忘れて、いいことが、あるのか。   ないでしょうねぇ、ええ。嫌な気分になるだけです。ただ・・・ ただ、なんだというのだ?   ただ、なんども忘れて、ああやっぱりダメだと何度も思ったら、 思ったら・・・?   それが大事な事だって、きっといつか体にしみこむんでしょう。 おまえはそれでいいのか。   ええ。それが、わたしです。

美的感覚 2007年9月16日

私は良くわからないものがすきなのだ  抽象的なもの、何か分からないけど感覚でしか捉えられない、 でもその感覚が迫ってきたときに からだ全体にびぃんと何かが走るような そんなものがすきだ。 言葉だと一つで終わっちゃう概念が、 絵で表すとすごく沢山の種類で表現される。 一緒に行った某省庁の官僚は、 「絵は良くわからないからはっきりしている写真のほうがいい」 とおっしゃっていたけども 私は良くわからないものの方が実はものすごく忠実で 抽象画といわれるものほど実は ものすごく具体的

ミュートだった 2009年11月4日

視界が安定している とふと思った いろいろな人の文章や価値観に触れていると すぐに揺れる、ぶれる、 そういうのがここ何年かの私のよさでもあり欠点でもあったのですが 最近、私は常に「私」として世界をとらえて そして 他人を見ることができているような気がする そして、「楽しい」ということがとても純粋だ。 ただ「楽しい」と思うということが、こんなことだったっけ こんな平穏なことだったけ、と思う 「楽しい」という感情には常に相反するものが同居して 常に葛藤が内包されていて 「