【週刊皆本類】4月14日〜21日の日記

◯月◯日。
徹夜明けからの、村上春樹の新刊の発売日。我が新天地・埼玉県の小川町に1軒……、いや2軒はある一般書店(他にも、「PEOPLE」という素敵なカフェの2階にはインデペンデント系の書店もあるし、全国的に書店が激減する中で、この町はなかなかに文化的と思う)のうちの1店に電話で入荷を問い合わせて、お取り置きしてもらう。昼まで寝た後、すでに本気を出し始めているこの地ならではの挑戦的な炎天下の中、徒歩で20分かけて書店まで向かう。レジで会計している間にも、昼休みに抜けてきた会社員風のおじさんが、自分と同じ本を買って、自分と同じようにスタッフの方に紙カバーをかけてもらうようにお願いしていて、なんか同時代を生きてる感じ。

近くのファミレスに入り、新登場のミニサイズのパスタと白ワインをオーダー(こっからもう春樹の世界観に軽く突入、クーポン使ってお会計が550円だったけど!)。早速数ページ読んでみたけど、旅先とかもっと集中できるところで浸りきって読みたいと本を閉じる。

私は村上春樹は何より短編が好きで、今の季節なんて『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』を再読するのに最高の季節だし、『ファミリー・アフェア』は最高に笑えるから大好きなんだけど、長編は『羊をめぐる冒険』など、“大人のファンタジー”ーーだけど、別に風味は甘くないーーが好み。

村上春樹の長編の魅力はさまざまだけど、個人的には、主人公が、特に仕事があるわけでもなさそうだし、色々と追わなきゃいけない謎が多くて大変そうなんだけど、とはいえ、周囲の流れとは関係なく、好きなことを好きなときに好きなようにやれる、時間とお金と自分軸(ド根性)を携えて生きているところが好き。ファンタジーを生ききるためには、ある種の自立が必要。身も蓋もないけれど大事な話と思います。


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