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アニメ嫌いの兄、公開初日に弟とラブコメ映画を観に行ってみた

自分の可能性を自分で狭めているなぁとなんとなく思っていた時に、アニメオタクの弟がこれまでにないほどドはまりしている「五等分の花嫁」を勧めてきた。そもそもアニメが苦手な僕はラブコメアニメなんて一度も見たことなかったけど、何か自分のためになるヒントがある気がして興味をもった。

映画公開の1週間後に間に合うようにアニメを観終え、さらには公開初日に弟とふたりで劇場版「五等分の花嫁」を観てきた。ラブコメを避けてきた自分をぶん殴ってやりたいくらい面白く、学ぶことも多かったから布教します。


飽きる、疲れる、面白くない


僕はアニメと漫画と小説が苦手だ。飽きっぽくて、ハマりきれないと途中で疲れてしまい、短い作品でも完結まで辿り着かない。刺激的な展開がないとどうしても集中力を欠いてしまう。小説なんかもちゃんと数えてみれば25年生きてきて数十冊程度しか読んでいないと思う。買ったのに読まなかったもののほうが多い。

正直そういった作品の面白さがどこにあるのかをずっと理解できずにいた。でも何かに熱中できることが羨ましくて、否定してしまっている価値観がある気がして何度もトライはしてきた。

アニメや漫画は特に触れてこなかった。意気込んで買ってくる漫画はいつも1巻と2巻。3巻以降がどうしても気にならなくて3巻以降は自分で買ったことがない。2巻までじゃ惹きこまれるわけないのにね。そして決して多くはないけどトライを辞めないのは、まんまとハマってしまった作品もあるから。

初めてアニメの面白さに衝撃を受けた作品は「進撃の巨人」。2年くらい前に弟が勧めてくれた。その名前と人気があることは、アニメに疎い僕も知っていた。

アニメの面白さを知ってほしい弟に強制的に観せられて渋々眺めていた…はずだったのに、容赦のない展開に続きが気になって仕方なくなり自分でも驚くほどハマった。「次のエピソードを観る」を連打。すぐ飽きてしまう僕を逃がさないようにしているかのようだった。

小説や漫画も昔は読めていたし面白い作品もないことはないけど、現時点ではアニメは見やすくて受ける影響も大きいからアニメだけはハードルが少し低く感じられている。僕は自分の価値観に対して少し強めの影響を受ける作品が好きみたい。ただ面白いだけだと低評価になってしまうつまらない人間なのだ。弟に言わせれば「楽しむのが下手」なんだって。


関係ないはずなのに、関係ある気がした


「そもそもアニメが苦手なうえにラブコメにハマるようなオタクじゃないし、今の自分にとって学べることがあるとも思えない。」

ラブコメ観たことないくせにこんなふうに思っていたのかも。
ある日の晩ご飯。映画公開が近いらしく興奮冷めやらぬ弟がまた、ハマるわけのないアニメを勧めてきた。

キュンキュンしたり萌えたり(一緒?)推し活が忙しくなるやつでしょ?
何にでも意味を求めてしまう質だからどうせ面白くないよ。

「ふーん。」

聞き流したはず。
流しきれなかったのか少しだけ引っ掛かった。

いや、そんなはずはない。
アニメはアニメでもラブコメなんてもっての外。
アニメ自体ツラいのに、イタすぎるラブコメなんて観れるわけない。オタクが観るものだから自分には関係ないし、どうせ面白くないだろうし、クールな自分のセルフブランディングにも悪影響がある。


「昨日言ってた映画だけど、行ってみようかな。」

翌日、映画公開日がまた1日近づいてもっとソワソワしていた弟に、そう言っていた。めちゃくちゃビックリされてビックリした。僕がラブコメを観に行くことの違和感が相当なものらしく、最初の嬉しそうな顔のあとは喜びと心配と驚きの入り混じった気持ちの悪い弟が見れて楽しかった。

自分がこの荒々しい現代社会で生きていくには、たくさんの自分を守る工夫をしなければ悲惨な人生になってしまうことをうつ病から学んでからというもの、必死に内に籠って生きてきてしまった。そしてまたそれも、理解者や協力者、仲間や恋人というものと疎遠になることを痛いほど知った。細々と生きていこうとしても一人で生きられない僕らは、自分の周りに壁を造ってしまうと耐えられなくなってしまう、感情をもった生物。

だから観ることにした。
ただ内に籠っていただけじゃない。
こじらせて燻ってできたこの価値観を、吐き出して入れ替えて磨いていく中で人ともっと繋がり前進したい!壁をぶち壊したい!!ラブコメが観たい!!!

「映画はアニメの続きだから絶対アニメ観てからのほうがいいよ」

せっかく張りきってる兄に、落ち着きを取り戻した弟はそう言った。
全24話を一週間後の映画公開までに観ろとのこと。
なかなか厳しい課題だけど、面倒くさい感情は無視していつもよりポジティブな気持ちで、僕はラブコメアニメ「五等分の花嫁」を観始めた。


初めての"推し"を大画面で拝んできた

映画館でもらえる特典「14.5巻」

無事に前日までに2クール分を観終えた僕は、少しドキドキしていた。きっと"推し"ができたことによる弊害だろう。この感覚が"推し"で合ってるのか分からないけど恋に近い感覚を感じてしまった。「三玖ちゃん」推しの弟の愛情にはほどほど及ばないから弟の前では大人しくしてたけど、確かに恋愛感情のようなものが「一花ちゃん」に対して芽生えていた。

「五等分の花嫁」は五つ子のヒロイン達が同級生でありアルバイト家庭教師でもある彼と結ばれるために、成長しながら努力していくストーリー。長女である一花ちゃんはなぜか人気ランキング5位らしいけど、知ったこっちゃない。僕の圧倒的"推し"は一花ちゃんなんだから。うわぁお…。気付けばオタクへの一歩を踏み出してるのかもしれない。

映画の公開初日、そして映画鑑賞当日。
ボックスティッシュを抱えた弟の横、映画館特有の緊張感で僕までソワソワしていた。いや、もう素直になろう。大好きな一花ちゃんが大画面で拝めることと、物語が遂に完結してしまうことにソワソワしていた。"遂に"といっても一週間で完結まで味わえてしまうのだから贅沢だ。待ちわびたオタクの皆様には申し訳ない。


可愛い五つ子が可愛くない僕に教えてくれたこと

僕のメンター「中野一花」様

映画鑑賞後っていつも複雑な感情が絡まって自分でも解くのに時間がかかるから一緒に観に行った人とすぐに感想を共有するのが難しい。だからと言って薄っぺらい感想も述べたくないから「面白かったか面白くなかったか」だけはハッキリ伝えるようにしている。家族と行くとそれすら疎かにするんだけど。

1~2日くらいかけてやっと自分の価値観に落とし込めたのに、弟はもう「ごとよめロス」を回避するために目星をつけておいた次のアニメを淡々と観ているから、ここに寂しく感想を残すよ。


五つ子達が家庭教師の「風太郎」と結ばれるべく競い合うなかで、僕が長女の「一花ちゃん」を応援したくなったのは自分と重なるところが多かったからだろうなと思う。初めのうちは他の姉妹を恋心を応援しながら自分の感情は抑え込んでいたり、姉妹には内緒で女優を目指して活動していたりしていた。僕も他人を気にかけたり自分がうまく社会に馴染めているかばかり気にしていて、個人的なことは秘密裏に進めてしまう気がする。おまけに長男。

抑え込んでいて自分では気づけていない本音は、相手は気づいていたりする。だから同じ土俵に立っているライバルであるはずなのに遠慮されると相手にとっても釈然としない。逆に自分もライバルとして同じように頑張ることが相手も気持ちよく頑張れることに繋がる。どんな結果になろうと歓迎できる。

自分の意見を通すことが他人を傷つけてしまうことがあること。なにかと繊細な僕が感情的な人からダメージを被りやすいこと。僕はこれらを避けるために我慢することを無意識に選択し続けてきた。その結果、自分どころか他人のために動くエネルギーもないほど疲れてしまったじゃないか。

自分の気持ちにもっと素直になっていいと気が付いた彼女は「頑張る」ことの方向性を誤って、自分を磨くことで”上げる”のではなく、妹たちを姑息な手を使って”下げる”ことを選択した。それが結局うまくいかなくって姉妹の関係にも亀裂が入ってしまう。

相手を貶めることで自分を上げた気になると、自分も足を引っ張られてしまう。自分の頑張りを見て相手が自信を失ってしまうのとはわけが違う。


「我を出したっていい」んだ。
そして「公平に頑張る」ということ。

大きく分けて、この2つを学んだ。
自分のやりたいことに集中すると、相乗効果を与え、応援もしてもらえる。自分に素直になることが相手に素直に接することにもなり、無理しなくっても良い人間関係が築けるのかもしれない。

素直になれず可愛くない僕に、
可愛い五つ子が大事なことを教えてくれた。


ラブコメは破壊力抜群


どうやら僕が嫌煙していたラブコメは、僕が25年間かけて守り続けてきた自分の壁を一週間もあれば破壊してしまうらしい。さっさと素直になって観ておくんだった。

あと、破壊力抜群の可愛い笑顔。
学生時代に同級生がハマっていたのを横目にクールぶっていたかもしれない。ほんとうは人目を気にせずオタクライフをエンジョイしたかったのかもしれない。久しくお目にかかっていない恋愛感情も少し取り戻したような取り戻していないような気がする。進歩だ。

大袈裟かもしれないけど間違いなく僕の人生における大切な作品のひとつになってしまったので、皆さんにもおススメします!少しでも自分こじらせてるなと思ったら観に行ってみてね。

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