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都市計画・都市デザインを学ぶ人の夏休みの過ごし方

ちょっと時間経って、夏休みに入ってしまったけど。

2022年度の今頃には、こんなツイートをしていました。
都市計画研究室(泉山ゼミ)配属前にやった方がいいこと


日本大学理工学部建築学科3年生は、3年前期を終えると、必修科目の多くが終わり始め、それぞれの進路に応じて選択科目を選んでいく。

また、9月の研究室配属に向けて、8月には、オープンラボ期間として、各研究室の説明会、研究室見学Gドライブなどの情報提供、公開ゼミなど研究室ごとにさまざまな機会が自由にある。興味のある研究室に覗いて行く期間になります。


そして、早期化される就職活動。インターンの就職活動化によって、企業もインターンや見学会、様々企画して行く様子だ。


そう考えると、3年生の夏休みの過ごし方は、非常に重要だ。後期は授業なども入ってくる。1.5月の時間を有意義に使うことは、周りの人と差がつけやすいでしょう。

そこで、都市計画・都市デザインを学ぶ人の夏休みの過ごし方に置き換えて、アップデートしつつ、まとめてみたいと思います。


学生らしい夏休み

よく、大人は「学生は学生らしい夏休みを過ごしてね。」という。しかし、学生にとって、社会人経験がないので、学生らしいというのはあまりピンとこないかもしれない。

社会人は、一般的な会社員の休みは会社の労働契約書等に記載された公休が休みになる。通常は土日、年末年始、会社によってはお盆休みもあるかもしれない。他に条件を満たせば、有給休暇が付与される。逆に言えば、それ以外は仕事をする。そう考えると、祝日が入ってくる3連休、GW、お盆休み、年末年始しか普通は休みがない。これに有給休暇を組み合わせるのが効果的だけど、それでも数日単位だ。
もちろん、転職した間の期間もあるかもしれない。フリーランスになったりすればもっと自由だ。その分裁量を持って自己責任で仕事になります。

そんな社会人にとって、1カ月、1.5カ月休みというのは羨ましすぎるのだ。そんな期間は学生にしかない。だから「学生らしい夏休みを過ごしておいたほうがいいよ」(もうそんな時間は経験できないから)。

A.多種多量のインプットをする

多種多量のインプットをしよう。

文字通り、多くの種類の、多くの量のインプットをすることだ。では、どんな種類があるのだろうか。

1.都市計画・都市デザイン系の本を読む

活字離れといわれて久しいが、本を読んでいるか、いないかは大きな違いであります。
どんな違いが出るのだろうか。

本を読む意味と効果

まず、単純に、知識量に差が出ます。話をしていて、知っているか、知らないか。その差は大きいです。今の時代、何でも検索はできますので、多くの知識を頭に詰め込む必要はありません。しかし、自分の引き出しやどんな検索ワードやサイトを調べれば、必要な情報にたどり着くのか、それも知識です。僕は、本を読むなどの知識のインプットは、ナレッジ・インプット(Knowledge Input・KI:知識のインプット)と呼んでいます。

次に、本を読んでいる人は、書く文章が違います。書いた文章は、日本語としてしっかりしているか、おかしいか。特に、主語述語が明快か、短文で切り文章構造がしっかりしているか、論理的思考(ロジカルシンキング)で、文章のパラグラフが論理的な構成になっているか。これらは、都市計画・都市デザイン系では、論文や提案書の文章作成に大きく響いてきます。図やグラフ、地図が描けても、文章で説明する場面は次第に多くなってきます。就職活動でもエントリーシート、小論文の場面に出くわします。社会に出ても、文章を書くという行為はどんどん増えていくでしょう。文章がしっかり書けないと、自分の意志が正確に伝わらず、さらには内容云々の話になりにくいです。

ちなみに、僕は大学院進学を考えている人、どんどん勉強したい人には、最低、月2冊(2週間に1冊)の本を読むことをお勧めしています。慣れるまで大変ですが、本を読む習慣やルーティーンをしっかり構築すれば難しくありません。月2冊は、年間24冊、3年で72冊、5年で120冊。10年で240冊。時間の経過が経つにつれてその量はどんどん絶対値は大きくなるのです。

自分の興味・関心を探る

では、どんな本を読んだ方がいいのだろう?

オススメの本は何ですか?

これは多くの学生からくる質問です。

正直に言えば、オススメ本はそのシーンによるところが大きいです。

では、まず自分は何をインプットすべきなのだろうか。それを探りにいくには、本屋・書店がオススメです。都市計画・都市デザインの本は、ブックファースト、ジュンク堂、紀伊國屋書店などの大型書店にいくと良いです。ここに多くの場合、建築書棚か、社会学書棚に都市計画・都市デザイン系の本があります。

例えば、こんな風に。この書棚から、タイトル、表紙を見て、自分がピンとくるものは何か、ピンと来た本は、目次や著者、本の中身をパラパラとめくってみて、気になる、読みたいものを探していきます。これはアマゾンなどのネット書店ではできない、書店ならではの体験。こうやって、自分の興味を探りつつ、気になる本から読んでみるのです。

オススメ本

ちなみに、オススメ本は、以下に紹介しています。

こちらは、2022年に研究室(日本大学理工学部建築学科・都市計画研究室(泉山ゼミ))についてのよくある質問で、オススメ本を紹介しています。回答したのは、2021年だったと思います。

こちらは、2022年に配属された今の4年生が、3年生だった時に、3年ゼミで都市計画・都市デザイン本のインプットの際に、最初に呼んだ本を紹介してくれています。学生目線で、最初に何に気になったのか、身近に感じる点もあるかもしれません。

半分おまけですが、もし、私、泉山塁威に興味があり、何を考えているのか(考えてきたのか)を知りたければ、泉山塁威が関わった本を読むことも一つです。ただし、本を出版するのには、執筆から、短くて半年、長くて1−2年は経っているものもあります。いつ出版されたかをチェックすると共に、その時代背景や社会情勢を読み込んで本を読むことをお勧めします。

2.気になる都市系ニュースをみる

最近のインプットは本だけじゃない。僕自身、様々なWEB媒体で、情報を取得している。それについては、質問も来ているので追ってまとめたいと思います。

都市計画・都市デザインは、社会状況とも密接であり、日々ニュースを見ることは大事です。

それに加えて、都市系ニュースや情報ソースから自分で情報を取得する仕組みをつくることです。それがないと、常に自分で探しに行かなければならない。

どんな情報ソースがあるかはこちらにまとめています。

情報を取得する仕組みをつくるという点では、上記に紹介したメールニュースの登録です。他にも気になるサイトをブックマークやRSSリーダーの登録、SNSのフォローなどでしょう。この辺は詳しくは追ってまとめます。

3.都市系のセミナーやイベントに参加し知見を深める

上記の情報ソースや都市系ニュースにあたっていると、セミナー、シンポジウム、イベントなどの情報を目にすると思います。コロナ以降オンライン参加可能なものも増えています。タイトルや登壇者で気になる人がいれば、どんどん参加した方がいいです。特に本当の違いは最新の議論、事例、登壇者の考えなどを知ることができます。

これらは無料のものもありますが、有料のものもあります。有料のものでも自己投資だと思ってどんどん参加した方がいいでしょう。

対面のものがあれば、どんどん対面で参加した方がいいです。対面のメリットは、名刺交換、交流会、知り合いに出会うなど。質問をすれば、登壇者にも覚えてもらえますし、話すきっかけにもなります。

質問は、対面でも、オンラインでもオススメです。自分の疑問を解消する、もしくはそのヒントになるからです。イベント形式によりますが、対面の方が質問を受け付けてもらえる可能性は高いです。また、イベント終了後に登壇者のところにいって名刺交換と質問をすることもできます。

オンラインは遠方でも参加できたり、場所に関係なく参加しやすいというメリットがあります。その時の事情で選択ください。

4.気になる都市系やパブリックスペース事例を見に行く

インプットの最後は、気になる都市系やパブリックスペース事例を見に行くです。

これは、各所にある都市開発、交流拠点、パブリックスペース、社会実験の現場を見にいくことです。僕はこのインプットをプレイス・インプット(Place Imput:PI・場所のインプット)と呼んでいます。

実際に自分でプレイスを体感することは、写真をみること以上に何倍も価値が違います。自分で体感すること、感じたこと、気づいたことをぜひメモなどに書き留めることをお勧めします。その感覚を大事に、自分なりの気づきをまとめるのです。

常時ある日常的なプレイスから、社会実験やイベントなどの期間限定のものもあります。期間限定のものはその時しか体感できませんし、日常のものも季節や天気、気候によって感じ方も異なります。

どれだけプレイス・インプットをしているかは、自分の引き出しの差にもなります。また、一つの道路、公園、広場などでどれだけその良さを語れるか。これはまず自分で体感していないと、語れないでしょう。

好きな都市やパブリックスペースはありますか?

この質問はよくありますが、皆さんは応えられますか?また、その理由も述べるとなると、自分で体感していないと多くは語れないですよね。ぜひ、たくさんのプレイス・インプットをして、多くの都市やパブリックスペースを体感し、好きになり、語れるようになってください。

B.立ち止まって考える

ところで、先日、サウナにいってきました。瞑想のような考える時間になって、よかったですよ。

瞑想とまでは行かなくても、立ち止まって考える時間は大事です。これは課題や提出に追われている時期にはそんな余裕はないかもしれませんが、夏休みのようなゆっくりとした時間の流れの時には、その時間をつくりやすいです。

立ち止まって考える時間は、Thinking Time(シンキング・タイム)といいますが、まさに考える時間です。

何を考えたらいいでしょう?

そんな声が聞こえてきそうです。

5.インプットしたことをもとに自分の考えをまとめる

先のインプットもインプットしたままでは、効果半減でしょう。それを自分なりに考えをまとめることは重要です。

・インプットした情報について、自分はどう思うのか?
・全部賛成のイエスマン?
・賛同できないものはない?
・疑問はないか?

最初から自分の考えをまとめることは難しいですが、自分の考えをまとめる訓練は早いうちからしておいた方がいいと思います。自分の意見がないなんて、面白くないです。

考えをまとめるには、スマホやPCでも良いですが、紙とペンの方が刺激、インスピレーションは湧きやすいといいます。ツールは自分に合ったものをセレクトください。

6.自分のビジョン・キャリアデザイン・目標を描く

未来のことも重要でしょう。自分の専門や研究室、就職活動、大学院進学、社会に出た後の20代、30代の目標。

自分の未来について、考える時間を取ることは節目や折りに触れ、重要な時間です。

自分は何がしたいのか?自問自答する人も多いでしょう。

でも、自分探しはやめた方がいいと思います。自分づくりをしましょう。なぜなら、探しても、答えはないのです。答えがあるとしたら、自分が決めたことが答えです。

もちろん、そのためには、キャリアデザインに関する情報をインプットし、自分で知ることは重要です。でも、決める前提のリサーチと、探し続けるリサーチでは、リサーチの本気度や動機が違います。

人に相談することも大事です。友人、先輩、家族。人と相談し、話すことで気づくこともあります。特に進路のことは家族との相談は大事です。家族と共有できないと、進路によっては難しいこともあります。説得するできる自分の意志も考える時間によって形成されてくるでしょう。

また、ビジョンやキャリアデザインは視覚化することも大事です。言葉も大事ですが、ビジュアルの力は強いです。例えば、以下は僕が毎年年始にまとめているビジョンボードです。自分のビジョンに合う画像を収集して一つのボードにまとめるものです。

僕は以下の言葉を信じています。20代から当時はシステム手帳などで、憧れな人、やりたいことの画像を収集してまとめていました。それが今思えばビジョンボードです。振り返ると10年前に書いていることはだいたい実現していたのです。だから、僕は以下の言葉を信じ続けています。

「夢は願えば叶う」(それに向かって必要な行動をし続ければ)
「想像できないものは実現しない/想像できるものは実現できる」

C.よく遊ぶ

最後に、よく遊んでください。

よく学び、よく遊ぶ。

これは大事なことです。

遊んでない人は、豊かな体験が少なく、都市計画・都市デザインの提案の際に、ユーザー目線で提案しにくいです。何事も体験していくことで、気づきがある。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は、割と学内目線で書いていますが、情報自体は、他大学の学生、社会人にも使えるところはあるかなと思います。ぜひ、使えるところ、使ってください。

そして、

都市で学びたい。都市で楽しみたい。

これは、都市計画研究室(泉山ゼミ)の2023年のキャッチコピーです。本質をついています。

みなさんも、都市で学び、都市で楽しんでください。

期待しています。

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