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アウシュビッツ強制収容所に行った話

パリがまたバカンス期間に入ったので学校も休み。ポーランドまでアウシュヴィッツ強制収容所を見学しに行きました。

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過去を自分なりに正しく知ることは、現在自分がどこにいるのか知るための大切な行為であると感じました。「恐い」とか「悲しい」とかそんな感情に浸る暇はなく、現実を受け入れ何故こうなったのか、今私はどんな流れの中にいて、日々感じる違和感はどうしてで、その違和感にはどんな危険性があって、自分なりに正しく生きていくためにどうするべきなのか、ぐるんぐるん考え続けていました。今も考えています。この施設で行われていたことはその理由も含めて、近代史史上最も悲惨で最も人間の真理的な出来事だと私は思っていて、それはこの時代のこの国民・人種の人達だけが招いたことなのではなく、それ以前から滔々と続いている人間の歴史が招いたことなんだと思います。もしかしたらそれ以前の哺乳類の本能の影響もあるかもしれません。

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グローバル化はアイデンティティのストレスを生み出します。長い歴史が作り出したヒエラルキーが存在して、例えばアメリカ、フランス、イギリスなどの国歌は何となく知っていますし、国旗の意味も何となく知っていますし、大統領が今誰なのかも知っています。でもすぐ隣の国の事は全然知らなかったりします。それは単なる偶然ではないと、唯一の日本人公式ガイドの中谷さんが仰っていました。私もフランスに来るまでは漠然と「ヨーロッパの演劇はすごい」と思っていました。今思うととても漠然的でした。それも気付かないうちにヒエラルキーに影響されていたところもあるのかもしれません。グローバル化がアイデンティティのストレスを生み出している瞬間を私は実感していました。今は平和とされているから、このストレスが小さなままで済んでいるだけなのかもしれません。

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ヒトラーは民主主義で選ばれました。国民は選挙に行ったんです。人は疲れてしまうと、自分を認めてくれ、褒めてくれるものに縋りたくなります。信じたくなります。責任放棄したくなります。誰かがやってくれないかなぁこれ。考えんのも面倒。ってなります。しかし、有名なヒトラーも、かつては芸術家になりたかった1人のオーストリア人でした。私が考えたのは、私はどれだけ考えて選挙に行っていただろうかってこと。1人1人の考え方や生き方が国や世界を変えていってしまう、また変えることができる。私はそう思いました。
数字だけ見るのと、実感として受け取るのでは危機感が違います。例えば「収容所に連れてこられても70~80%の人は収容もされずにガス室に送られた。」と言われるのと「今ここにいる11人の中でここに収容されるのはあなたとあなたです。他の人はあそこでシャワーを浴びてください。」と実際にチクロンBという害虫駆除剤の空き缶の前で言われるのとでは感覚が違うのです。

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「女性の髪の毛は全て刈られて、カツラや生地の生産に使われた。」と説明されるのと、実際にその刈られた髪の毛の山を見るのとでは実感が違うのです。

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それと同じことが政治でもあるのかもしれません。国民に報告されるのは文字だけなんです。国民からいくら税金集めますよ~とか、その中から何にこれだけ使いますよ~とか、何年後には国民の何%が年金もらう側ですよ~とか。文字だけなんです。どっかの国の紛争で死者何名だって~。とか、どっかの国でテロが起こって死者何名だって~。とか。私はどこまで想像できていただろうか。どこまで想像して、どこまで考えて、私の意思として選挙票を箱に入れてきただろう。どれだけ考えどれだけの意思をもって、国のお金をもらい留学しているんだろう。国のために学ぶとはなんぞや。

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人の気持ちを考えられてないなと思う時などに唱える「イマジン、イマジン、ジョンレノン。」という自作のおまじないがあるのですが(なんだそれってゆうツッコミはなしでw)私が今持ってる€ユーロも、日本の銀行に貯金してるお金も、もしかしたら元を辿ればこのユダヤ人たちの財産だったのかもしれぬのです。そんなこと「イマジン、イマジン、ジョンレノン」したことありませんでした。
「正しい歴史」とは存在しなく、「正しい歴史」は自分で選んでいくものだと中谷さんが仰っていました。まず何が正しい歴史なのか考えてみること。それすら私には出来ていなかった。考えることも強制することではないですが、私は自分がこの時代に自分として生まれたからには自身の意思を持って生きていきたいので、もっと大切に考えていこうと思いました。
「面倒くさい」から逃げちゃだめよ。美しいものを美しいと思えることはとても素晴らしいことよ。
長くなってすみません。正しく伝わるか分からないので書くか迷ったけど書きました。読んでくれてありがとうございます。

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