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「身銭を切れ」あるのは行動の合理性だけ。

(タイトル画像は「みんなのフォトギャラリー」より写真を使わせていただきました。美しい作品をありがとうございます。)

ナシーム・ニコラス・タレブ「身銭を切れ」
2022年3刷 ダイヤモンド社


「まぐれ」「ブラック・スワン」「反脆弱性」など、世界最高クラスの知の巨人の一冊です。タレブの本は緩やかなシリーズもののような雰囲気もあるので、もしもこれからタレブを読もうとする方がいらっしゃったら「まぐれ」からをお勧めします。

タレブのここまでの本の要旨はこんな感じです↓
・人は、運や偶然の作用を過小評価し、運と実力を混同する。
・その時その場所でたまたま当たった蛮勇を、英雄視したり教訓にしたりするべきではない。
・たとえ発生頻度の低い事象であっても、備える。生き残るためには破滅につながる行動は避けなければならない。「絶対ない」はない。
・脆弱なものは変動に対して負の影響が大きく、利益よりも害を被る。
・非対称性や変動性、可逆的で小さな間違い、分権、自主秩序を尊重する、反脆弱さで強くなれる。

ここから、「身銭を切れ」引用します。

予測を”的中”させる頻度ではなく、的中させたときにどれだけ儲けるかだ。読み間違えるのは、大きな犠牲がなければさして重要ではい。

タレブが繰り返し言っている、「カモは議論に勝とうとする。カモじゃない奴は勝とうとする」というのも、とても好き。
株屋は損益がすべてなんですよ、ええ。10回やって10ずつ勝つのではなく、8回で10ずつ負けても残りを2勝で200稼ぐ。そういう商売です。
相手が納得しなくても理解しなくてもばかにしてきてもいいんです。
求めているのは他人からの評価ではなくって、実益。ですよ。

自由人とは、同僚の評価に大きく(または直接的に)運命を委ねていない人間のことである。

ああもう、タレブ素晴らしいな。

信念に”合理性”も何もない。あるのは行動の合理性だけ。

本人に訊ねるだけでは、人々の本心はわからないし、その人の行動は予測できない。本人すら自分の本心を理解していない場合もあるからだ。最後にものをいうのは、その人が目の前の商品に対して実際に支払う対価だ。

経済学者や財務省官僚の、個人アカウントのポートフォリオ見たいですよね(笑)?(タレブも経済学者のことはこれでもかと罵っていますが)
「それ」を「何」(または「いくら」)と交換するか、結局それがその人の本音でしょう。

合理性とは、システムの破滅を防ぐことである。

身銭を切らずして得るものなし。

タレブ素晴らしい。

お勧めの一冊です。


おまけ↓
東京本郷三丁目のまさむらさんで昼時に読んでました。

黒ムツ+梅干し

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