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1億円でFIREは無理?

けっこうバイアスのかかった表現もありますので、どうぞご注意ください。鹿は本文と全く関係ありません🦌

Financial Independence Retire Early =FIREとは、経済的にさっさと自立してしまってさっさと引退したるということ。一時期、億り人(おくりびと。いわゆる一億円の資産形成を達成した人)がFIREの条件みたいに言われてました。年収1,000万資産1億ってキリいいからか、一応そのくらいあればお金持ちの仲間入りみたいな共通感覚がある気がします。

実際1億あると大体上位2.5%くらいの資産状況で資産偏差値70くらいです。低いスコアではないですね。ただ、2~3億程度ではFIREなんて気になれないという兼業株屋は相当数います。

たとえば現在70歳で地方都市に暮らして立派な家と稼ぎのいい家族をもってて借金とか病気とか気がかりな家族とかはいないという人と、現在35歳で首都圏居住で最近30年ローンでマンション購入して小学生の子供が3人いる人では、必要な金額は違います。

たとえば上京して賃貸アパート一人暮らしで人的資産も金融資産もない場合と、都内人気エリアに現金で買ったのおうちに稼ぎのいい旦那と優秀な3人の子供と暮らす場合では、同じ日に契約切られた派遣職員45歳女性であっても、絶望感は全然違います。

ちがうの。ちがうの。

人生に同じ事象が投下されても、もちろん衝撃度はそれぞれなわけです。

私自身はいわゆる現役世代で、バーベル戦略を採用しています。

バーベル戦略というのは両極端な二つのものを組み合わせることで、絶対許容できないシナリオを回避する戦略。

人生設計で言うなら退屈な安定職と不安定な夢を組み合わせるようなこと。牧師をやりながら音楽や絵画をやること。妻が学校教員で夫がレストラン経営はじめた夫婦ということ。中途半端(良く言えば中庸)はない。いわゆるバーベルのように両端だけウエィトを重くしておく戦略です。

この考えに基づくと、FIRE後、身ひとつの運用でだけ生きていくことには危うさを感じるのです。もちろん、勤め人をしつつ株屋をしていることで両分野ともに甘えが出るとかとか、そういったデメリットもなくはないですが、最悪シナリオは破産とか無収入では?背水の陣なんて、うまくいったら英雄ですが、その裏側には何倍とか何十倍の失敗があります。蛮勇がたまたまうまくいっただけなのに、そこだけに眩いライトを当てるやり方は公平性に欠ける。私は再現性の低いまぐれあたりの成功物語から学ぼうとか、成功者の自分語りから教訓を抽出するような危険はとりたくないのです。そしてどうやらFIREすると、運用の仕方も「儲けたい」から「収入を確実なものにさせたい」に変わるらしく、この心理的制御と精神変容から運用成績は下がることがほとんどらしいのですね。相場で「確実」「損をしない」を願うなどとは、かなり危険な心理状態ですからね。

「絶対ない」は、絶対ない。
いい。

私はこのバーベル戦略という言葉を知ったのはここ数年のこと、尊敬するナシーム・ニコラス・タレブの「反脆弱性」を読んでからです。

めったに起きないが起きれば壊滅的な被害をもたらすシステムの危険性は、小さなたくさんの間違いを許容するシステムで回避できる

ランダムな弱い衝撃を受けることで、しくみは強く安定する

といったことがこの本の趣旨であり、バーベル戦略はあくまでこの主張の補助部分。株式市場の利益率は平均7%とかいうけど、これ例年、5~9%くらいで平均7%とかではないですからね。損失マイナス何10%とか利益がプラス何10%とかのあいだをとったら7%ぐらいということです。これがランダムに出現することに動じないサイコパスぶりというか、無神経無感覚ぶりがないと株屋なんかできんなと実感します。たとえば自分の資産が日々、月収金額程度で変動しますがメンタル大丈夫?ということ。毎月最低でもいくらぐらいほしい、みたいな感覚で相場に入ると失敗すると思う。ちいさいマイナスがだらだら何か月も続いて、たまに大きく勝つから収支はプラス。勝つと言えるのはたまにね、ということに耐えられるかということです。だから、相場に向かうときの精神状態を一定状態に保つのためにも、別の仕事を持つことの意味、保険のある安心感はやはり大きいと思うのです。

鹿なの。

いずれにしろ1億を5%で運用したら500万くらいだからFIREしてもなんとかなる、みたいなのは、皮算用というより草算用とかw算用とかになりかねんと思っています。私自身、高配当世界的企業の無配を経験しました。配当金頼りの生活は、インフレとかいうマイルドな変化ではなく、もっと違う大きなパラダイムシフトにも、おそらく全然耐えられません。(精神的)自由は金融資産の紐づけあってのことですが、1億あればいい悪いでもないのですね。紙幣が不兌換になったときから、貨幣価値の低減は運命のようなものになってもいますしね。

まあ、たらたら書いていますが、私は勤め人の方は年齢到達か、(資産額とかは別にした)何かの契機かでやめるけれど、株屋は一生やるつもりです。なので運用体制ももちろん変容する日は来るでしょう。というか、これは日々試行錯誤の弄り回しをしてます。

そういえば日経平均4万円突破とか言ってますけど、同じ日のニュースで大企業の大幅人員整理があると複雑な気持ちです。結局人件費削って利益出して株価上がったりしているわけですから。でも大事なのは、そういう現実直視して、どういう手法でサバイブするかだと思ってます。




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