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旅の詩集『Voyage』

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日常に挟んだ10枚の栞 (のこり1枚)
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#回想

あの箱を手放せないわけ

あの箱を手放せないわけ

押入れの奥にひっそり眠る白い箱がある。中には海外みやげのハート型の貝のオーナメントが5つ。ずっと前にいただいたものだ。

某サイトで意気投合してメッセージの交換をしていた方がいた。いわゆるネト彼ってやつだ。彼は同い年で隣県に住む大学生。やり取りは楽しく、多分、彼が好きだった。実体のないふんわりした好意はぎゅっと握れば潰れてしまうような儚さがあり、それがまた美しく思えた。

クリスマス、お互いに予定

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新しい船出へ

新しい船出へ

前回の出来事から2年が経ち、覚悟と決意の初夏、わたしはバッサリと髪を切ったのだった。

「どうして切ったの?」には自虐を込めて「失恋したから」と答えていた。みんな笑ってくれたのは呪縛が解けたわたしに安心してくれたからだと思う。

ほんとは何年もずっと切りたかった。ショートヘアは自分には自由の象徴であった。

初めて行く美容室を選んだ。お店の名前は『かもめ』。当時はまだInstagramにマネキンを

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悲しくない、それでいい

悲しくない、それでいい

梅雨のある日、一緒に暮らしていた人が突然帰って来なくなった。朝「行ってきます」と仕事に出てそれっきり。正確には、冷たくなって帰ってきた。事故だった。

なのに全然悲しくない。
しばらくすれば実感が湧くものなのかと思ったけど、悲しくない。
今も。ずっと。

どこかにいる気がするからだろうか。しばらくはいつもの時間にドアが開いて「ただいま」と声が聞こえるような気がしていた。
「(葬儀などが)全部終わっ

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