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【妄想話】太郎・12話

「太郎・第12話」

いっぽう、鬼ヶ島では鬼たちが村人から奪った宝物を眺めて、これも村人から奪った食べ物で飲み食いしてました。
「ガハハ。お前たち好きなだけ食べて呑んでくれよ。無くなったらまた村から取ればいいしの…
んっ?その金のネックレスよく見えん。ポテリッチみたいに立たせてくれ。」
「アニキ、それは無理ですぜ。」
「じゃ、貸せ。つけるから。…どうだ?」
「アニキ似合います!世界一似合ってますぜ。」
「そうか?ガハハ。んっ?その金の王冠は?」
「これも村から奪ったモノですぜ。」
「そうか。貸してみろ。かぶってみるわ。…どうだ?」
「ア、アニキ似合います!世界一似合ってますぜ。多分。」
「ウソつけ!…。んっ?誰かきたぞ?」
現れたのは、おばあさんでした。
「あんたらをやっつけに来たぞ。」
鬼たちは食べてる手を止めます。
金の王冠を頭から取った赤鬼が立ち上がります。
「ババア。それ本気で言ってるのか?」
「あぁ、本気じゃ。」
「なに寝言いっておる。お前さんお腹でも空いているのか?ここには何でもあるぞ。好きなだけ食べていけ。そして帰れ。」
おばあさんはお腹を手でさすりました。
「そういえば、ちょっとお腹空いたの。麩菓子捨てたし。」
赤鬼は食べ物が積まれた場所へと行き、一つ適当に取っておばあさんに渡します。
「これでも食っとけ。」
「せっかくじゃ。いただくとするかのぉ。」
赤鬼は食べ物を受け取ったおばあさんの小さな手を見つめました。

つづく

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