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【妄想話】太郎・3話

「太郎・第3話」

なんやかんやで、おじいさんとおばあさんは大きな桃をテーブルに乗せました。
おばあさんは包丁を握りしめています。
その包丁をおじいさんに向けています。
「じいさんや。死んでおくれ。」
「えっ?」
「存在が邪魔なんじゃ。」
「えっ?」
「冗談じゃ。冗談。」
「その割には顔が真剣だったぞ。」
「桃食べるじゃろ。今剥いてやるからな。」
「ちょっと待て。」
おばあさんは桃の皮を剥こうとしてた手が止まります。
「なんじゃ?」
「燻製ナッツミックス食べてお腹いっぱいなんじゃ。」
「年の数だけ食べただけじゃろ?それぐらいなら大丈夫じゃ。」
「節分の豆じゃあるまいし。…年の数じゃったら80粒は食べてるから、やっぱりお腹いっぱいじゃろ。それにな。」
「なんじゃ?」
「それはまだ硬そうじゃ。ワシは熟した方が何でも好きなんじゃ。だから今のおばあさんもどストライクなんじゃ。」
「それどういう意味じゃ。やっぱり殺すぞ。」
おばあさんは包丁を振りかざします。
「ばあさん落ち着け。顔が真剣なところが余計に怖い…ほらバナナでも黒い点、シュガースポットが出るころが好きなんじゃ。」
「そんなの知らんがな。あっ、焼いたらどうじゃろ?熟した感じになるかもしれん。」
すると突然、大きな桃が真っ二つに割れました。
おじいさんとおばあさんはビックリして尻もちをつきました。


つづく

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